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「閉館するときだけ惜しまれる」などと皮肉っている場合ではない。7月29日で幕を閉じるという岩波ホールである。「新型コロナの影響による急激な経営環境の変化を受け、劇場の運営が困難と判断」したというが、改装工事を終えて1年足らず、予定していた作品公開を取りやめてまでの決定は青天のへきれきだ。ミニシアターの元祖にして聖地。映画ファンも業界も、驚き、嘆いている。
ミニシアターの危機は、コロナ禍前から言われていた。1980年代に始まったブームが下火になり、支えていた若い女性層が年を取って後の世代が続かない。ブームの中で洋画の買い付け価格が上がり、単館興行では採算が取れなくなった。テレビ局の映画製作への本格参入後、日本映画の人気が復活する一方、若者たちのアート系映画への関心が薄れた――。2000年代に入っていくつかの配給会社が消え、ミニシアターの閉館も続いて…
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