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一般にイメージするベンチとは、ずいぶんと違う。白樫木材(和歌山市)が製造、販売する「アドベンチー」は、角材2本でつくるシンプルながら、白樫啓一社長(63)の木への思いがいっぱい詰まった新発想のベンチだ。
祖父の代の創業から製材を中心に手掛けてきた。転機は白樫社長が就任した約20年前。それまで扱っていた外国産材から国産材にシフトし、規格通りに切り、加工する仕事だけでなく顧客の個々の注文に応じた材料、製品づくりを業務の柱に据えた。「あの有名な豚まんを蒸す木製セイロも我が社製」と白樫社長。さらに「原木の循環、消費の促進」を掲げて自社製品の開発にも乗り出した。アドベンチーはその代表格だ。
強度はあるものの、商品にならない虫くい材の活用法として開発を始めた。発想の原点は「昔、大工さんが柱材の上に座って弁当を食べていた」という白樫社長の記憶。実際、角材に座ってみると角張った外見と違って座り心地がよく、「これならいける」と直感した。座面と背もたれとなる2本の角材を、ボルトを使うことなく支えるステンレス製のフレームを自ら考案し、地元の機械メーカーの協力で仕上げた。
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