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中国の五輪運営 市民の素顔見えぬ違和感

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 北京冬季オリンピック・パラリンピックを開催する中国に、世界の目が注がれている。

 習近平国家主席は「我が国の好ましいイメージを示し、ソフトパワーを高める」機会と位置づけている。

 新型コロナウイルスの感染対策で外部と隔てられた会場では、ロボットが料理を運ぶ。デジタル人民元で買い物もできる。ハイテクを駆使した運営が印象的だ。

 開会式では巨大な聖火台を造らず、トーチをそのまま利用した。環境への配慮や簡素さという大会の理念を表現した。

 人権問題を巡る欧米の批判を意識したのか、政治色の濃い演出も目に付いた。新疆ウイグル自治区出身の選手が聖火リレーの最終走者を務め、政府は「民族の団結を示した」と自賛した。

 華やかな会場には「見せたい中国」の姿が凝縮されているようだ。ただ、一歩外に出ると、情報統制に感染対策が加わり、市民の素顔が見えにくくなっている。

 当局は体制に批判的な言論に目を光らせる。ネット交流サービス(SNS)での私的なやりとりも例外ではない。

 人権活動家らは大会期間中の情報発信を控えるように圧力を受けたという。香港では、五輪への抗議行動を計画した人物が政権転覆を扇動した疑いで逮捕された。

 会場周辺で街頭リポートをしようとした外国メディアが、警備関係者から強引にテレビ中継を制止される一幕もあった。

 都合の悪い情報は見せないようにする姿勢では、習指導部が掲げる「信頼される中国」の実現はおぼつかない。欧米との溝が深まる中での五輪だからこそ、世界に扉を開き、相互理解を深める好機とすべきだろう。

 2008年の北京夏季大会をきっかけに外国人記者への取材規制が大幅に緩和され、国内外から「社会の開放は中国の自信の表れ」と評価された。

 習氏はかつて各国の記者を前に「称賛だけでなく、客観的な提言を求めている」と述べていた。だが、その言葉が五輪運営に反映されているようには見えない。

 大国を自任するならば、批判や異なる意見にも耳を傾ける度量が求められるのではないか。

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