連載

eye

社会や政治、スポーツなど国内外の動きを、写真のレンズを通して見つめます。

連載一覧

eye

うねりの先「神の魚」 秋田・男鹿

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
沿岸に仕掛けた「小型定置網」を懸命に引く「第八長洋丸」の漁師たち=2021年12月、写真家の高橋智史さん撮影
沿岸に仕掛けた「小型定置網」を懸命に引く「第八長洋丸」の漁師たち=2021年12月、写真家の高橋智史さん撮影

 「さあ、行くぞー」。昨年の12月上旬、秋田県男鹿市の脇本漁港に、漁師たちの声が響いた。「第八長洋丸」は鉛色の海に飛び出すと、いてつく風雪とうねりを乗り越え漁場を目指す。「しっかり船につかまれよ。いい写真撮れるまで毎日来いよ」。船上でよろめく私に、天野長兵衛船長(72)の声が勇気をくれた。

 秋田に伝わる初冬の風物詩「季節ハタハタ漁」が、幕を開けた朝だった。

 ハタハタは、世界的にも珍しい気象現象「冬季雷」が秋田の海上にとどろき、海がしける12月ごろ、深海から大群を成して沿岸に押し寄せる。「藻場」に、卵を産み付けるためだ。その僅か1カ月ほどの間に「小型定置網」や「刺し網」で行われる漁が「季節ハタハタ漁」と呼ばれる。長く厳しい秋田の冬に恩恵をもたらすことから、ありがたい魚として貴ばれてきた。ハタハタへの信仰心は文字にも表れ、雷神が遣わす「神の魚」として「…

この記事は有料記事です。

残り604文字(全文983文字)

あわせて読みたい

マイページでフォローする

この記事の特集・連載
すべて見る

スポニチのアクセスランキング

現在
昨日
1カ月

ニュース特集