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受験シーズン真っただ中だが、2022年度から適用される高校の新学習指導要領に基づく教育改革が迷走を重ねたのは知られる通りだ。文部科学省が当初目指した大学入学共通テストでの英語民間試験と記述式問題の導入は、昨年になって頓挫した。
実用性を重視する国語改革では、評論や法律、契約書などを扱う科目と、小説や古典を扱う科目が切り離され、教育関係者や作家らから批判を浴びた。しかも、論理的文章を扱う新科目「現代の国語」(高1必修)の教科書で実際に学校現場の支持を集めたのは文科省の意図と違って、堂々と小説を載せたものだった。
こうした改革をめぐる混乱について、阿部公彦・東大教授の評論集『病んだ言葉 癒やす言葉 生きる言葉』(青土社)は背景を掘り下げて考える手がかりになる。著者は英米文学が専門だが、日本文学の評論も多い。いうまでもなく英語と国語は、ともに言葉に関わる教科である。
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