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あきれている人も多いのではないか。みずほ銀行が昨年から繰り返し起こしているシステム障害は、通算11回となった。失敗を分析して次に生かす「失敗学」を提唱し、政府による東京電力福島第1原発事故の事故調査・検証委員会委員長を務めた畑村洋太郎・東大名誉教授(81)は、繰り返されるみずほのシステム障害について「原発事故との共通点がある」と指摘する。どういうことなのか、詳しく聞いた。
再発防げず信頼失墜
「みずほのトラブルには今の日本が抱える問題点が典型的に表れています」。柔和な表情の畑村さんだが、口調には確信がこもっていた。
みずほでは2021年2月、全国各地のATMが停止し、キャッシュカードや通帳が取り込まれて利用者が足止めされたトラブルを皮切りに、外貨送金の遅れなどが11回も続いた。02年と11年に大規模なシステム障害を起こし、再発防止を進めてきたはずなのに、再びトラブルを繰り返したことで、信頼は失墜した。
畑村さんが提唱してきた「失敗学」は、事故やトラブルの原因を分析することで、同じような重大事故を繰り返さない方法を研究し、社会で役立てることが目的だ。今こそ畑村さんに、みずほがこれ以上、障害を繰り返さないためにどうすればいいのか聞きたい。取材に訪れた記者に、畑村さんは11年3月11日の東日本大震災で起こった原発事故について語り始めた。
配電盤が地下に
大震災で高さ約15メートルの津波に襲われた福島第1原発。海抜10メートルに建つ原子炉建屋やタービン建屋は最大7メートル浸水した。配電盤や非常用ディーゼル発電機などの重要施設は地下1階にあり、大量の海水流入で使えなくなった。原発は全電源を喪失し、過酷事故につながった。
畑村さんは「配電盤のような重要なものをなぜ地下に配置したのか。誰も疑問に思わなかったのです」と指摘する。委員会は原発建設時の検討状況についても調べたが、答えは得られなかった。
ところが最近、その理由が分かってきたという。失敗学の研究者が、米国の原発…
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