「背後に何百人もの人が」 埼玉立てこもり、在宅医療の柱失う

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死亡した医師の鈴木純一さんが勤務していたクリニック前に献花して手を合わせる市民=埼玉県富士見市で2022年1月29日午後2時45分、林田奈々撮影
死亡した医師の鈴木純一さんが勤務していたクリニック前に献花して手を合わせる市民=埼玉県富士見市で2022年1月29日午後2時45分、林田奈々撮影

 埼玉県ふじみ野市の民家で1月、医師らが診療などを担当した女性の遺族から散弾銃で撃たれた立てこもり事件で、死亡した医師の鈴木純一さん(当時44歳)は在宅医療に献身的に取り組み、患者たちを支える大きな存在だった。地域が失ったものは大きく、その死を悼む声はやまない。「鈴木医師が果たした役割を知ってほしい」。患者の家族と、医師と連携して活動してきた訪問看護師がそれぞれの思いを語った。

 「鈴木医師は、私と亡くなった妻の最後の半年間になくてはならない人だった。感謝の言葉しかない」。同市の元高校教諭、出口研介さん(73)は涙をこらえて声を絞り出した。

 妻の優子さんは卵巣がんと診断され、長年闘病していたものの、病状は改善しなかった。末期がんと覚悟して終末期を過ごす病院も決めていたが、入院中、痛み止めに強い薬を使うと、優子さんは悪夢を見て自ら点滴の針を抜いてしまうようになった。そのままでは身体を拘束される可能性も。自宅で看病したい――。そう願った出口さんが地域で相談する中で出会ったのが、鈴木医師だった。2015年春のことだ。

 鈴木医師は優子さんに「何を望みますか」と尋ね、…

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