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時代の風

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博士課程院生への支援 学術への尊敬あるか=長谷川眞理子・総合研究大学院大学長

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=幾島健太郎撮影
=幾島健太郎撮影

 最近、日本政府は、大学院の博士後期課程に在学する院生に対して、経済的援助をする取り組みを導入し始めた。その一つが、「次世代研究者挑戦的研究プログラム」である。これは、既存の学問の枠組みを超えて、新たな研究を志向する博士後期課程の院生に対し、生活費相当額および多少の研究費を支給するものだ。

 こんなことが行われるようになった背景には、我が国の博士後期課程に進学する院生の数がどんどん減少しているという事実がある。大学の学部を卒業したあとに修士課程に進学する学生数は増える傾向にある。しかし、修士課程修了後に博士課程に進学する者、つまり、博士後期課程進学者の割合は、1981年度には18・7%であったものがどんどん減少し、2018年度には9・3%になってしまった。

 では、それはなぜなのかといえば、過去における国立大学の運営費交付金の減少などの結果、大学における研究者のポストが全体として減少したこと、とくに若手研究者は3年や5年の有期契約によるポストしか見込めないことで、要するに、研究者になって生活していく道に将来が見えないからなのだ。そこで、博士後期課程の院生は、学生というよりも「次世代を担う若手研究者」なのだから生活費を保証してあげようということで、先の…

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