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ウーバー配達員の事故 安全守る取り組みが急務

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 自転車による飲食宅配代行サービスが広がる中、安全に対する事業者の配慮が不十分な現状に、警鐘を鳴らす司法判断だ。

 「ウーバーイーツ」の男性配達員が高齢者をはねて死なせたとして、業務上過失致死罪で有罪判決を受けた。

 雨の夜、ライトがない自転車に乗っていた。眼鏡に雨粒が付いて周囲を確認しにくいにもかかわらず、横断歩道で減速しなかった。

 手軽に乗れる自転車も、危険な走行をすれば、人の命を奪いかねない。男性の過失は重大である。

 この罪が自転車の事故に適用されるのは極めて異例だ。性能が高いロードバイクに乗り、歩合制の報酬を効率よく得ようとスピードを出していたことが重視された。

 裁判では、ウーバーイーツの報酬体系が背景にあったことも明らかになった。

 一定の時間内に、指定された件数の配達をこなすと、支払いが上乗せされる「クエスト」という仕組みだ。配達員を確保するのが目的で、雨など悪天候時の配達にも適用される。

 法廷では、追加報酬を受け取れるところまでやろうと思ったとの供述調書が読み上げられた。

 上乗せ分を目当てに配達件数を稼ごうとすれば、急ぐあまりに周囲への注意がおろそかになり、事故の危険性が高まる。

 配達員の労働組合が実施した調査では、クエストの対象となる状況で起きた事故が、複数確認されている。

 サービス運営会社は「警察と連携した交通安全講習会などを実施している」と説明している。

 しかし、安全対策は配達員任せなのが実態である。雇用関係はなく、個人事業主として仕事を請け負っているためだ。

 事故では、配達員が被害者になる場合もある。大けがをすれば、仕事を休まざるを得ない。労災保険に特別加入できるようになったが、保険料は自己負担だ。

 配達員は「ウーバーイーツ」の名前で仕事をしている。運営会社が責任を持って、安全を守る取り組みを強化しなければ、社会の理解は得られない。

 これまでに起きた事故を分析して、実効性のある防止策を講じる必要がある。

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