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危機深まるウクライナ 外交的解決へ露は撤兵を

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 ウクライナ危機が深刻さを増している。国境周辺に展開するロシア軍部隊がかつてない規模に膨らんでいるからだ。

 ベラルーシでの合同演習に参加した3万人の部隊は終了後も撤収せず居残り続けている。

 危険水域まで高まった緊張を緩和するため、ロシアは直ちにウクライナ国境付近から軍を撤収させなければならない。

 ウクライナ東部では、政府軍と親ロシア派武装勢力の双方が砲撃を激化させている。24時間で1500回を超える停戦違反があったとの報告もある。

 2014年と15年の2度にわたり、独仏露ウクライナの4カ国は「ミンスク合意」と呼ばれる停戦合意をまとめた。東部地区に「特別な地位」を与え、自治権を拡大することが盛り込まれたが、ウクライナ政府が無視し、ロシアが反発している。

 東部での偶発的な衝突を口実に、ロシアがウクライナ侵攻に踏み切るような事態を招きかねない情勢だ。

 バイデン米大統領は「プーチン露大統領がウクライナに侵攻する決断をしたと確信している」と述べた。

 米側は情報戦によって、ロシアの侵攻をけん制する狙いがある。だが、東部の親露派は反発を強めており、露大統領府は「東部でのわずかな挑発も深刻な結果を招きかねない」と警告した。

 外交交渉により事態収拾を図る取り組みも続いている。

 解決へ向け、フランスの仲介で米国とロシアの首脳会談が模索されている。

 首脳会談に先立って24日にも予定される米露外相会談が実現するかどうかが、今後を占う試金石となりそうだ。

 東部に安全を取り戻すための実務的な取り組みも必要だ。

 停戦監視に当たる全欧安保協力機構(OSCE)に加え、独仏露ウクライナが再び話し合いのテーブルに着き、有名無実化した合意を立て直さなければならない。

 まずはロシア軍が引き、外交交渉に真摯(しんし)に取り組むべきだ。

 自国の主張が聞き入れられないからといって、軍事的圧力をかけ続ける姿勢は、大国としての責任を放棄しているのに等しい。

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