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脱サラ全力投球「自分しかできない幸せ」 西南大アメフト、吉野監督

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全日本大学選手権西日本代表決定トーナメント2回戦の関大戦。第1クオーターに独走してファーストダウンを決め、喜ぶ西南学院大のQB城代慈英(中央)=福岡市博多区のベスト電器スタジアムで2021年11月20日、徳野仁子撮影
全日本大学選手権西日本代表決定トーナメント2回戦の関大戦。第1クオーターに独走してファーストダウンを決め、喜ぶ西南学院大のQB城代慈英(中央)=福岡市博多区のベスト電器スタジアムで2021年11月20日、徳野仁子撮影

 周りの反対を押し切ってでも、人生を懸けてやり遂げたいことに出会えたら幸せだ。「自分にしかできないことに突然出会ってしまった」。西南学院大アメリカンフットボール部監督の吉野至さん(33)はそんな幸せな一人なのかもしれない。就職するまで縁もゆかりもなかった九州のアメフト界発展のため、脱サラしてまで全力を投じている。

 福岡市の中心部から西へ約20キロ。1月中旬、日の暮れた西南学院大の練習場に日本海からの冷たい風が吹き付けていた。底冷えする寒さの中、選手たちはノースリーブや半袖姿で練習に励んでいた。屈強な体から湯気が立ち上り、照明が白く照らしていた。

 「全体練習ができなくても強くなれる。やれることはある」。練習を締めくくるハドル(円陣)で選手に発破をかけていたのが吉野さんだった。新型コロナウイルスの感染拡大で、この日を最後に再び練習場の閉鎖が決まっていた。「打倒関西」。悲願をかなえるためには、逆境にも立ち止まるわけにはいかない。

   ◇

 吉野さんは東大阪市生まれ。大阪・関大一高でアメフトを始め、強豪・関大に進んだ。キッカーとして活躍し、3年時の2009年には法大との毎日甲子園ボウル決勝を制して大学日本一に輝いた。

 大学を卒業した11年、大手製薬会社に就職した。初任地は福岡だっ…

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