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フィールドの向こうに

フィールドで輝きを放つ者もいれば、涙を流す者もいる。その向こうにある光景を見つめたい。

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フィールドの向こうに

「感動装置」のからくり=田原和宏

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閉会式の終盤で地上に降りゆく聖火台=北京・国家体育場で2022年2月20日、手塚耕一郎撮影
閉会式の終盤で地上に降りゆく聖火台=北京・国家体育場で2022年2月20日、手塚耕一郎撮影

 北京冬季オリンピックが幕を閉じた。国家体育場(通称「鳥の巣」)にある、雪の結晶を模した聖火台のトーチの火がそっと消えた夜、あの米映画を見た。1993年公開の「クール・ランニング」。中米カリブ海のジャマイカから88年カルガリー五輪に出場したボブスレーチームの挑戦をコメディータッチで描いた物語だ。

 無性に見たくなったのは、五輪の実態から目を背けたくなったからかもしれない。欧米諸国が新疆ウイグル自治区の人権問題を巡り、政府担当者らを派遣しない「外交的ボイコット」に踏み切れば、中国側はウイグル族の選手を聖火リレーの最終走者に起用。政治の駆け引きの舞台となった。

 競技も理想とかけ離れていた。ドーピング検査で陽性反応を示したカミラ・ワリエワ選手(ロシア・オリンピック委員会)の出場が認められた。金メダル候補の15歳は疑惑の目にさらされた。本来の演技とはほど遠く、得点を待つ間、肩をふるわせて涙を流す姿は痛々しかった。

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