着々と準備が進む原発処理水の海洋放出 実現に向けたハードルは
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廃炉作業が進む東京電力福島第1原発の原子炉建屋では今もなお、高濃度の放射性物質を含む汚染水が1日約150立方メートル(ドラム缶750本相当)のペースで増えている。東電は、汚染水の放射性物質の濃度を国の基準未満に下げた「処理水」を、海水で薄めるなどしてから海に流す。放出後の風評被害をいかに抑えられるかが課題になる。【吉田卓矢/科学環境部】
処理水について、政府は2021年4月に海洋放出の方針を決めた。汚染水には64種類の放射性物質が含まれており、東電はまず、多核種除去設備「ALPS(アルプス)」という装置を使い、トリチウム以外の濃度を基準未満に下げる。
トリチウムを取り除くのは技術的に難しいので、大量の海水で薄める。放出する水のトリチウムの濃度は、国が定める基準の40分の1(1リットル当たり1500ベクレル)未満にするという。海水で薄められた処理水は、新たに建設する海底トンネルを通って、沖合約1キロの水深約12メートルの海底で放出される。
東電は21年12月、海洋放出をする設備の設計や手順をまとめた「実施計画」を原子力規制委員会に申請。今年6月に着工し、23年4月中旬ごろの完成を目指す。その直後に放出を始める予定だ。
処理水をためるため、敷地内には高さ10メートル超のタンクが1000基以上ある。まだ満杯ではないが、23年春にはためられなくなる見通しだ。東電の担当者は「廃炉作業に必要なスペースを考えると、増設の余地は限られる」と話す。
ただし、計画通りに海洋放出を始められるかは見通せていない。
政府・東電はこれまで…
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