原発は「グリーン電源」なのか? 欧州委提案を識者が読み解く

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フランスの再処理工場の貯蔵用プールに沈められた使用済み核燃料=フランス北西部ラアーグで2021年3月2日午後2時ごろ、久野華代撮影
フランスの再処理工場の貯蔵用プールに沈められた使用済み核燃料=フランス北西部ラアーグで2021年3月2日午後2時ごろ、久野華代撮影

 欧州連合(EU)の行政執行機関にあたる欧州委員会が今月、原子力発電を天然ガスと共に「環境に配慮した投資先」のリストに加える提案をした。二酸化炭素(CO2)排出が少なく、気候変動対策に貢献するという理由だ。

 東京電力福島第1原発事故から間もなく11年。「グリーンな電源」として原発は復権するのか。日本は原発とどう向き合うべきなのか。国内外の3人の論者に、欧州委の提案を読み解いてもらった。

天然ガス含めた「妥協点」――ニコラ・バーグマン・持続可能な開発と国際関係研究所主任研究員

 原子力発電や天然ガスを脱炭素社会に向けた移行期エネルギーとして「タクソノミー規則」のリストに含めた欧州委員会の提案は、さまざまな意見の相違があるなかで欧州委が見いだした妥協点だ。

 電力供給の7割を原発に依存するフランスをはじめ、フィンランドやポーランドなどは原発のリスト入りを支持する。これに対し脱原発を進めるドイツは、オーストリアやスペインなどとともに反発したが、天然ガスのリスト入りは支持した。オランダやスウェーデンのように原発には賛成しつつ、天然ガスには反対する国もある。

 加盟各国や欧州議会は2020年にタクソノミーを巡って定めた規則で、どういった経済活動が脱炭素社会に貢献するかなどの分類を欧州委に委任した。欧州委は、加盟国や科学者らの意見を聞いたうえで提案をまとめた。

 提案は、欧州委自身が認めるように「不完全」なものだ。原発も天然ガスも長期的な解決策としては異論を免れない。原発は放射性廃棄物など「核のごみ」が残る。天然ガスは(石炭火力などに比べれば少ないとされるが)温室効果ガスを排出する。だが、欧州が脱炭素社…

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