勇者と共にダンジョンを冒険 メトロが手に入れた「最強アイテム」
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終電後の東京メトロの暗いトンネルに浮かぶ一つの光。その正体はドローン(小型無人機)だ。第6回のメトロ裏側探検隊の舞台は千代田線・表参道駅。ドローンは地下鉄トンネル内の点検作業でも活躍しているという。難しい場所の点検作業を飛躍的に効率化したといわれるドローンの仕事ぶりに密着した。【北山夏帆】
深夜0時。「最終列車、まもなく発車しまーす!」。駅員のアナウンスが流れる駅からはきだされる乗客たちを尻目に、表参道駅に到着した私と動画担当の後藤由耶カメラマン。第5回のホームドア設置編と同じように、今回の探検も最終列車が通過した後の駅ホームから始まった。
やはり終電後のホームに居残るのは、特別な緊張感がある。乗客が構内に残っていないことを駅員が確認し終わると、機材を持った作業着姿の人たちがぞろぞろとホームに下りてきた。
作業着の集団の中に、小脇に透明のトートバッグを大切そうに抱えて歩く人物がいた。今回の案内人である東京メトロ工務部1級工務係の大沢篤さん(28)だ。バッグから機械のようなものがのぞく。「中身はなんですか?」「これは、トンネルの点検に使うドローンです」。主役の登場である。
暗いダンジョンを進む
大沢さんらの作業チームは線路上に滑車のついた荷台を下ろすと、その上に手早く巨大な照明器などを取り付けた。しばらくすると、作業員が荷台を押して暗い地下鉄のトンネルの中を進み始めた。私たちもその後ろをついて歩く。なんだか、勇者とダンジョンを進むロールプレーイングゲーム「ドラゴンクエスト」みたいだ。まさに冒険の始まりである。
「地下鉄のトンネル内を歩いて見学してみたい」。こんな願いを抱いてきた私の胸は高鳴っていた。表参道駅から乃木坂方面に歩き始めると、後方のホームのあかりが次第に小さくなった。
約100メートル進んだ地点で「勇者の列」はストップ。「これから、過去に漏水のあった場所などを中心に点検していきます」…
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