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一刻の猶予もない気候危機 温暖化進めば人間と自然「適応の限界」に

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国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第2作業部会が公表した最新報告書の表紙=IPCC提供
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第2作業部会が公表した最新報告書の表紙=IPCC提供

 国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)第2作業部会は28日、「人間が原因の地球温暖化が広範囲に悪影響を与えている」と初めて断定した第6次報告書を公表した。被害軽減のための対策「適応策」に限界があることも指摘。人類が直面する「気候危機」が、一刻の猶予もないほど深刻さを増していることを改めて示した。

 IPCCには三つの作業部会があり、気候変動の科学的根拠などを担当する第1作業部会が2021年8月、温暖化は人間活動が原因と断定する報告書をまとめた。今回は気候変動の影響や被害軽減のための「適応策」などを担当する第2作業部会の報告書で、公表は8年ぶりとなる。

 日本を含む67カ国から270人の研究者が執筆や査読編集を担当し、3万4000以上の論文などを基にまとめた。2月14~27日にオンラインで開催された総会で、報告書の「政策決定者向け要約」が参加国の全会一致で承認された。

 温暖化がもたらす影響について、14年公表の第5次報告書では「自然と人間システムに影響を引き起こしている」との表現にとどまっていた。最新の知見を踏まえた今回の報告書では、豪雨や干ばつなど異常気象の被害について「人間が引き起こした気候変動に起因すると判断されることが増えている」と記載。異常気象の増加は、自然や人間の適応能力を超えるような不可逆的な影響を及ぼしているとした。

 気候変動に伴い、食糧安全保障の問題も深刻化している。農業生産性は増加しているものの、過去50年で豪雨や干ばつなどの異常気象の増加によって生産性の伸びは鈍化していると指摘。アジアやアフリカ、中南米などで数百万人が深刻な食料不足に直面し、世界人口の約半数が深刻な水不足に見舞われているという。

 温暖化の被害は気温上昇幅が大きくなるほど拡大する。気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」は、地球の平均気温の産業革命前からの上昇幅を2度未満、できれば1・5度に抑えるという目標を掲げるが、今回の報告書は「一時的にでも1・5度超えると人間社会も自然もさらに深刻なリスクに直面する」とし、1・5度にとどめる重要性を改めて強調した。

 一方、報告書は温暖化による影響への適応が困難になっている分野があることにも言及した。気候変動対策は温室効果ガス削減と適応策が柱で、世界中で防災なども含めた適応が進められている。だが、一部の生態系では既に技術的に対応困難な「適応の限界」に達していると指摘。「温暖化の進行に伴い、さらに多くの人間と自然が適応の限界に達する」と警告した。

 報告書を受け、国連のグテレス事務総長は「IPCCの報告書は気候変動によっていかに人々と地球が打ちのめされているかを明らかにしている。(対策の)遅れは死を意味する。すべての国が1・5度目標を達成できるように各国の対策を強化しなければならない」とする声明を発表した。

 IPCCは気候変動による影響の緩和策について第3作業部会の報告書を4月、第1~3作業部会の報告書をまとめた統合報告書を9月にも公表する予定。【鈴木理之】

日本の農水産物にも影響

 温暖化の世界的悪影響は、日本も例外ではない。

 日本の20…

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【気候変動】

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