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ウクライナ侵攻

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から1年。長期化する戦闘、大きく変化した国際社会の行方は……。

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ロシア経済破綻の可能性 制裁包囲網が威力 世界経済に返り血も

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通貨ルーブルの為替レートを表示する外貨両替所=モスクワで2022年2月28日、AP
通貨ルーブルの為替レートを表示する外貨両替所=モスクワで2022年2月28日、AP

 ウクライナに侵攻したロシアの経済ががたつき始めた。米国はさらなる金融制裁も辞さない構えを見せるが、世界経済への「返り血」も懸念される。

プーチン氏は制裁に対決姿勢

 ロシアのウクライナ侵攻を受け、欧州企業のロシア離れが進んでいる。

 「今回の軍事行動で、(ロシア)国営企業であるロスネフチとの関係を単純に継続できないと結論づけた」。英石油大手BPは2月27日、19・75%保有するロスネフチ株を売却し、ロシア国内での合弁事業も解消すると発表した。

 英石油大手シェルも28日、液化天然ガス(LNG)プロジェクト「サハリン2」を含むロシア国営エネルギー企業ガスプロムとの合弁事業から撤退すると発表。ノルウェーのエネルギー大手エクイノールも28日、ロシア事業からの撤退を発表した。

 ロスネフチやガスプロムは資金面や技術面などで有力なパートナーを失うことになる。

 自動車業界でもロシア離れの動きが出ている。英紙フィナンシャル・タイムズなどによると、ロシアの地元自動車メーカー、カマズと提携関係がある独トラックメーカー、ダイムラートラックは28日、「ロシアでの事業活動をただちに停止する」と決定。独メルセデス・ベンツも保有するカマズ株の売却を検討している。自動車産業は裾野が広く、ロシアの雇用情勢に影響が出る可能性がある。

 ロシア経済にとって、より深刻なのが、経済制裁によるインフレの加速だ。欧州連合(EU)や米国、日本が2月26日以降、ロシアを国際的な金融決済網から締め出すことを決めたことで、外国為替市場ではルーブル売りの動きが広がった。28日には、前週末に比べ3割程度安い1ドル=120ルーブル近くまで一時下落し、過去最安値を更新した。ロシア中銀は同日、政策金利を9・5%から20%に引き上げる異例の利上げで対抗。ルーブルは一時、やや買い戻されたが、ウクライナ侵攻前に比べれば大幅な通貨安の状態が続いている。

 ロシアは2014年のクリミア編入で西側諸国から経済制裁を受けた後、ルーブル買い支えの原資となる外貨準備を積み上げ、足元では約6300億ドル(約73兆円)に達していた。しかし、西側諸国は、欧米の中銀や銀行で保管していたこれらの資産の凍結を決定。ロシアは通貨防衛のための為替介入を封じられた。みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストは「ルーブルを買い戻す理由が見当たらない。今後も下落基調が続く」とみる。

 ロシアでは新型コロナウイルスなどの影響でもともとインフレが進行していた。…

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【ウクライナ侵攻】

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