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外環道の工事差し止め 住民置き去りに重い警告

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 建設中の東京外郭環状道路(外環道)について、地下区間の工事の一部を差し止める仮処分命令を東京地裁が出した。

 ルート上にある東京都調布市の住宅街で一昨年、道路が陥没した。付近の地下に空洞も見つかった。

 外環道は都心から半径約15キロを環状に結ぶ。中心部の渋滞緩和が目的だ。都内で地下に建設中の約16キロのうち、陥没地点を含む南側約9キロが差し止め対象とされた。

 道路や鉄道など公共事業を巡る訴えでは、裁判所は公益性を重視し、事業者の裁量を尊重する傾向がある。今回は異例の判断だ。

 地裁は、具体的な再発防止策が示されておらず、新たな陥没が生じて家屋倒壊などの被害を招きかねないと指摘した。

 陥没現場の地盤改良が必要となり、南側はトンネル掘削のめどが立っていない。だが、北側の工事が再開されていることから、「南側も再開されない保証はない」と結論づけた。

 住民を置き去りにして進む公共事業への重い警告といえる。

 陥没を調査した有識者委員会は、掘削機が土砂を過剰に取り込んだことが原因との報告書を公表した。緩みやすい「特殊な地盤」だったことも影響したと分析した。

 事業者の東日本高速道路は、工事の影響はトンネルの真上に限られると説明している。しかし、地盤の緩みは広範囲に及んでいると指摘する専門家もいる。

 実際、周辺では工事中に騒音や振動が続いた。住宅の外壁にひびが入ったり、床が傾いたりした。原因が全て究明されたわけではなく、住民の不安は強い。

 この事業は、地下40メートルより深い「大深度地下」を利用する制度に基づき行われている。地権者の同意や用地買収が不要となるため、工期短縮やコスト減につながる。

 安全面に関しても、地下深くの工事なら、地表に振動が伝わりにくいと考えられていた。認可した国土交通省は「地上への影響は生じない」と強調してきた。

 リニア中央新幹線の工事も、大深度地下で進められている。対象は、東京、神奈川、愛知3都県の計約50キロに及ぶ。

 地下の状態は把握が難しく、工事の影響も予測しにくい。利用は安全性の確保が大前提だ。

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