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ウクライナ侵攻 露大統領の核発言 許しがたい非道な威嚇だ

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 非道な脅しであり、断じて許されない。

 ロシア軍の核抑止部隊が戦闘態勢を整えたという。命令したのはプーチン大統領である。ウクライナや欧米を核兵器で威嚇し、使用も辞さない姿勢を見せている。

 他国を侵略したうえ、核まで持ち出すのは常軌を逸している。危険極まりない状況だ。

 プーチン氏の命令はウクライナへの侵攻3日後のことだ。軍事作戦が思うように運ばず、いら立ちを深めていると伝えられていた。

 威嚇が目的だとしても、戦況が不利になればリスクは一気に高まる。8年前のクリミア編入時にも核戦力を動員しようとしたことをプーチン氏は明かしている。

 ロシアの侵攻に協力した隣国ベラルーシでは核兵器の配備を可能にする憲法改正が承認された。脅威が一段と高まる恐れがある。

 戦闘態勢に入ったとされる部隊は欧米を攻撃できる核戦力を有する。ロシアを国際的な決済ネットワークから排除した経済制裁に対抗する狙いもあるのだろう。

 プーチン氏は「ロシアは核大国だ」と繰り返すとともに、核の先制使用のハードルを下げてきた。危うい言動に各国は一致団結して対処する必要がある。

 こうした中、耳を疑う発言が飛び出した。安倍晋三元首相が核兵器を日米で共同運用する「核共有」について言及し、議論の必要性を訴えた。米国の核兵器を日本に配備することを認める政策だ。

 日本は唯一の戦争被爆国であり、核兵器を「持たず、つくらず、持ち込ませず」という非核三原則を国の基本方針としている。

 この原則に反するだけでなく、核廃絶という国家目標を放棄することにつながる。岸田文雄首相がすぐさま「認められない」と否定したのは当然である。

 日本が追求すべきなのは、危機に乗じて核兵器への依存を強めることではない。「核兵器なき世界」の理念を改めて喚起し、国際社会を束ねることだ。

 核兵器が実際に使用されれば、戦後の核管理体制は瓦解(がかい)する。その先に広がるのは核戦争の恐怖におびえる世界だ。

 今、求められるのは、それを絶対に許さないという国際社会の決意である。

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