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ロシアによるウクライナ侵攻を受けてプーチン・ロシア大統領と親しい関係で知られる指揮者のヴァレリー・ゲルギエフの公演キャンセルが世界中で相次いでいる。
共同電やホールのホームページなどによると、フランス・パリを代表するコンサートホールであるフィルハーモニー・ド・パリは2月28日までに、4月に予定していたゲルギエフ指揮、サンクトペテルブルク・マリインスキー劇場管弦楽団の公演を中止すると発表した。また、スイス・ヴェルビエ音楽祭の事務局はホームページ上で、フェスティバル・オーケストラの音楽監督を務めるゲルギエフに辞任を要求、28日までに受諾された旨を発表した。
また、ミラノ・スカラ座も2月23日に始まったゲルギエフ指揮による「スペードの女王」(チャイコフスキー)の上演を3月5日の次回公演から指揮者を交代して行う。
ゲルギエフをめぐってはウィーン・フィルが先月、ニューヨーク・カーネギーホールなどで開催した米国公演で指揮をする予定だったが、直前にキャンセルとなり代わってヤニック・ネゼ=セガンが指揮台に立った。合わせてソリストに予定されていたロシアの人気ピアニスト、デニス・マツーエフの出演も取りやめとなり、韓国のピアニスト、チョ・ソンジンに交代した。
一方、名誉指揮者を務めるロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団はゲルギエフとの関係を停止し、プーチン大統領の対応から距離を置かない限り、9月の音楽祭を中止すると発表。28日までにゲルギエフ・サイドから連絡があり、両者の関係解消と音楽祭の中止が決定した。
さらにドイツ・ミュンヘン市のディーター・ライター市長は1日、2015年からゲルギエフが務めてきたミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者の解任を発表した。同市はゲルギエフに対して2月中にプーチン大統領と一線を画すことを明確にしない限り、首席指揮者を解任することを市長名で通告していた。ドイツ・メディアなどが伝える同市長の声明によると、ゲルギエフが市側の求めに応じなかったため、協力関係の継続は困難と判断したという。
ゲルギエフはサンクトペテルブルクを舞台とするロシア文化の顔としてプーチン大統領と親しい関係にあり、2014年のロシアによるクリミア併合の際もいち早く支持を表明しロシアの世論に影響を与えた。2012年の大統領選ではプーチン陣営のテレビCMにも登場し支持を呼び掛けたりもしていたことは広く知られている。