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水平社宣言から100年 色あせぬ「人間に光あれ」

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 部落差別の解消を目指した全国水平社の創立宣言から100年を迎えた。

 「人間を尊敬する事によつて自ら解放せんとする」

 京都市で開かれた創立大会で読み上げられた。600字余りに込められたのは、同情や哀れみではなく相互の尊敬によってこそ人は差別から解放されるという思いだ。日本初の人権宣言とされる。

 封建時代の身分制度は、明治政府による1871年の解放令で廃止された。しかし、それ以降も被差別部落の人々は根深い偏見と差別に苦しんでいた。

 自由主義的な運動が広がった大正デモクラシーの時代に、当事者が団結して差別に立ち向かおうとした運動団体が水平社である。

 宣言は他のマイノリティーに勇気と希望を与えた。4年後、北海道の先住民族アイヌの人たちは「解平社」を結成し、差別と闘う運動を始めた。

 日本国憲法で「法の下の平等」がうたわれたが、差別は続いた。

 1951年に、被差別部落を舞台にした小説が雑誌「オール・ロマンス」に掲載されたのをきっかけに、劣悪な環境を放置してきた行政の姿勢が問われた。対応を迫られた国は改善に向け、2002年まで同和対策事業を実施したが、問題が解決したわけではない。

 結婚などを巡る差別は残り、インターネットでは偏見に満ちた書き込みが後を絶たない。被差別部落の地名リストがネット上に出回る事態も起きている。

 19年に法務省が実施した国民の意識調査で「部落差別はいまだにある」と答えた人は73・4%に上る。若い世代では8割を超えた。交際相手や結婚相手が被差別部落出身かどうか気になるという回答は15・8%だった。

 こうした傾向について専門家は「差別を助長するネット上の情報が、若者に誤解や偏見を与えている可能性がある」と指摘する。

 部落差別解消推進法は国や自治体に教育や啓発を進めるよう求めている。ネット時代に対応した新たな取り組みも必要だ。

 水平社宣言は「人の世に熱あれ、人間に光あれ」で結ばれる。今も色あせないメッセージだ。言葉の重みをかみしめ、互いを尊敬し合える社会の実現を目指したい。

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