選択的夫婦別姓を阻む壁は「家意識」の亡霊 井田奈穂さんに聞く
- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

法相の諮問機関である法制審議会が、「選択的夫婦別姓」の制度導入などの民法改正案要綱を1996年に答申してから四半世紀が過ぎた。自民党の伝統的な家族観を重視する保守派などの反対で、今も法改正のめどは立っていない。地方議会への陳情や請願を通じて選択的夫婦別姓の実現を目指す市民団体「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」の井田奈穂事務局長(46)に、導入を阻む問題点について聞いた。【畠山嵩】
――選択的夫婦別姓の制度導入が日本で進みません。
◆選択的夫婦別姓制度がない結果、お互いに姓を変えたくないカップルには三つのことが起きている。第一に、結婚が破談になる。第二に、一方が望まない改姓をして、通称使用で名字の使い分けに苦しみながら生活をしている。三つ目は、不利益があると分かりながら「事実婚」をしている。事実婚は、名字の対等性は担保されるが法的保障は欠ける。子供の親権が一方にしかなく、相続ができない可能性もある。選択的夫婦別姓が進まないのは、妻子が夫に帰属する形が正しいと考える家族観が社会に残っているためだ。皆が改姓を望んでいるわけではない。改姓をしない選択肢があるだけでハッピーに結婚できる人が増えると思う。
――「法律婚」をした夫婦の大半は、女性が改姓しています。
◆法律婚の夫婦の約95%は、女性が改姓している。「女性が変えて当たり前」、「変えないのはわがままだ」という風潮が依然としてあるからだ。いわゆる「家意識」が今も亡霊のようにずっと日本の法律の陰に潜んでいる。1947年に法的にはなくなった「家制度」だが、その後も生き続けてきた。選択的夫婦別姓に反対の人たちは結局、(家長の男性が家庭で権力を持つ)家父長制の社会をモデルにしているので、法制度を変えて、あつれきを生みたくないのだろう。
通称使用は解決にならない
――「旧姓の通称使用」で…
この記事は有料記事です。
残り1578文字(全文2354文字)
時系列で見る
-
女性の人権改革、男性が参加してこそ タイ活動家の信念
452日前 -
3年に1回“再婚” 別姓望む夫婦の「選択」 考え始めた新たな道
452日前深掘り -
官邸に女性の政治家がいる意味
452日前 -
女性兵士の投稿、世界に拡散 軍隊への参加進むウクライナ
453日前 -
シングルマザーが挑んだ衆院選 子育てと両立、ありのままの姿で
453日前 -
ジェンダー平等が企業の生き残りに直結する理由 専門家が語る
453日前 -
戦争は「男の顔」をしているか ウクライナ女性兵が注目される背景は
453日前 -
「なぜキレイじゃなきゃダメなの?」 広瀬すずさんが感じた「格差」
454日前 -
日本企業の女性取締役を増やすには 前大津市長の挑戦
454日前 -
選択的夫婦別姓を阻む壁は「家意識」の亡霊 井田奈穂さんに聞く
455日前 -
五輪で社会変わったか 多様性訴え続けたサッカー選手の新たな決断
455日前 -
アンダークラスは貧困率5割 コロナで顕在化した「女性切り捨て」
456日前 -
「今夜、BluePostで」 国際女性デー、原点は平和求める声
457日前 -
「女性の手で女性の支援を」 100人で作った相談会の1年
457日前深掘り -
「生理の貧困」困窮者支援で終わりじゃない 谷口歩実さんの違和感
458日前 -
「貧困は女性のせい?」桐野夏生さんが語るジェンダー格差への怒り
459日前 -
民放の女性役員、2%台 著しい偏り、登用を拒むものは
461日前 -
韓国・女性家族省どうする? 保守派候補が廃止訴え大統領選の焦点に
465日前 -
世界で4人に1人の女性がDV被害、日本は20% コロナ禍で悪化も
466日前