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ロシアによるウクライナ侵攻に抗議する集会が、先週から国内各地で開かれている。東京・渋谷で2月26日に開かれたデモでは、在日ウクライナ人のほか、日本の若者たちがそれぞれのメッセージを書いた紙を掲げていた。どんな思いで参加したのか、何を伝えたかったのか――。改めて聞かせてもらった。【宇多川はるか/デジタル報道センター】
現地の生の声 届けたい
<私の家族は、身を隠すためにトイレに隠れなければなりませんでした。その後、爆撃から逃れるため、私が生まれ育った家とふるさとを離れざるを得ませんでした。マーシャ、24歳、キエフより>
(※元の英文は次の通り)<MY FAMILY HAD TO HIDE IN THE BATHROOM TO SHIELD THEMSELVES.THEY WERE THEN FORCED TO LEAVE MY HOMETOWN AND THE HOUSE I GREW UP IN BECAUSE OF THE BOMBINGS.-MASHA,24 YEARS OLD FROM KIEV.>
デモで、ウクライナの友人から受け取った英文のメッセージを段ボールに貼り付け、胸元に掲げて立っていた田中智さん(24)。フリーの映像制作者で、東京と英国で育った。16歳の頃、英国で軍関連の寄宿学校の寮に入り、ウクライナ人の友人ができた。17歳の時にその友人を訪ねて初めてウクライナに滞在して以来、たびたび長期旅行で訪れ、友人が増えていった。
「自分の見方にもしかしたらバイアス(偏り)があるかもしれませんけれど」と前置きしつつ、田中さんはウクライナの魅力を語った。「若い人たちが、自分の国を自らの手で造りたい、よくしていきたい、という気持ちが、とても強いと思います」
現地で知り合った友人たちが心配で連絡を取り合っている。渋谷で掲げたメッセージは、自身はキエフで暮らし、両親がウクライナ南部の街で暮らす女性からだ。ロシア軍の侵攻の2日後の26日にメールで送られてきたメッセージを印刷し、現地で暮らす市民の生の声を伝えようとボードに貼り付けた。
初めてデモに参加して「人生が変わった」と話す。今まではニュースで見てきた世界各地の戦争は、「ファンタジー」のように感じていた。でも、ウクライナは現地を知るだけにリアルな街並みや暮らしが想像できるから、いても立ってもいられず参加した。すると、若い人から祖父母世代にわたる参加者や、通りかかる人たちから、「ウクライナをサポートしたい」という気持ちの強さを感じた。
「ウクライナ支援のために振り込んでほしい」と路上でお金を託してくれる人もいた。東京でのデモを現地の友人に伝えると、感謝のメッセージも送られてきた。「遠い東アジアでもサポートの気持ちが広がっているとウクライナの友人たちが知ることは、この状況下で気持ちを強く持つ支えになると思います」。各地の戦争や紛争に対し、これまで抗議の声を上げてこなかったことを「後悔している」とも振り返る。
ウクライナから届く切実な状況
田中さんと連絡が取れている現地の友人は3人。そのうちの一人で、キエフを訪れる度に自宅に泊めてくれた別の女性から渋谷のデモ後に届いたメールには、日常を突如奪われた切実な思いがつづられていた。(※田中さんが英語で受け取ったメッセージの和訳から抜粋)
<キエフのどこかで最初の爆発音が聞こえた時、私の頭はこの爆撃の音を理解できなかった>
<こんなことが起こり得るわけない。政治家は歴史から学んでると思ってたから>
<私たちはキエフを去ろうとしたけれど、渋滞のせいで約3時間で1キロくらいしか進まずに家に帰らないといけなかった。夕方にやっと出ることができて、ほぼ1日かけてウクライナの中央西側にある私の両親のところにたどり着けた。お母さんを抱きしめた時、信じられないくらいに幸せを感じた>
<最近婚約して結婚式の計画をしているカップル、妊娠中の友達、弟が兵士としてウクライナを守っていて自分も兵士のために献血をしており、小さい子を育てる母親、書き切れないたくさんの大切な人がまだキエフにいる。始終連絡を取り合い、彼らの安全を確認していて、心の底から安全を祈ってる。キエフと西側の間の比較的安全な私たちの家に人を受け入れたり、泊まる所がない人に場所を探したりしている>
<私たちは心を強く持って、お互いを助けられるように最善を尽くしている。夜はなるべく2、3時間は眠るようにして、サイレンの音にすぐ反応できるようにしておきながらも、即時行動できるような体力を蓄えるようにしている>
<起きる瞬間は嫌いだ。自分の家が破壊されていること、愛する人たちが死んでしまったこと…
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