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岐路の風景

歴史の転換期となった文化的事象を取り上げ、現代の視点から改めてその意義を探ります。

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太田省吾 没後15年 アングラの時代「沈黙劇」で異彩 言葉突き詰め示した「人間」

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太田省吾に関する評論や対談を『ゆっくりの美学』にまとめた演劇評論家の西堂行人さん=2022年2月21日午後9時18分、森田真潮撮影
太田省吾に関する評論や対談を『ゆっくりの美学』にまとめた演劇評論家の西堂行人さん=2022年2月21日午後9時18分、森田真潮撮影

 代表作「水の駅」などセリフを排した「沈黙劇」で知られる劇作家・演出家の太田省吾(1939~2007年)。実験的な作品で演劇の可能性を追究し、近畿大や京都造形芸術大(現京都芸術大)で教育にも携わった。没後15年になる今年、近大で同僚でもあった演劇評論家の西堂行人さん(67)=明治学院大教授=が、太田を巡って書いてきた約40年分の評論や対談を新著『ゆっくりの美学』(作品社)にまとめた。太田作品の上演も相次ぎ、改めて注目が集まっている。

 太田は、1960年代に活動を始めた、いわゆるアングラ第1世代に属する。64年に東京五輪、70年に大阪万博が開かれ、学生運動も盛んだった激動の時代。演劇界では唐十郎や寺山修司、鈴木忠志らが頭角を現すなか、太田は劇団「転形劇場」で模索を続けていた。

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