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ウクライナ侵攻

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から1年。長期化する戦闘、大きく変化した国際社会の行方は……。

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ロシア産原油禁輸 米欧で温度差 見透かすロシア「壊滅的な結果に」

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ロシア企業がカスピ海に設ける石油掘削施設=ロイター
ロシア企業がカスピ海に設ける石油掘削施設=ロイター

 ウクライナ侵攻を続けるロシアに対する追加制裁として、ブリンケン米国務長官が米欧によるロシア産原油の輸入禁止を検討すると述べたことに対し、欧州各国は「困難」との姿勢を強めている。エネルギーのロシア依存度が高く、原油供給の急な遮断は現実的でないためだ。米ブルームバーグ通信は8日、バイデン米政権が同日中にも輸入禁止措置の単独実施を発表すると伝えた。

 「すべてのステップは、持続可能であるように設計されている。欧州はロシアからのエネルギー供給を意図的に制裁の対象から外している」。ドイツのショルツ首相は7日発表した声明で、欧州の市民生活や経済活動がロシアからのエネルギー供給なしでは維持できないことを率直に認めた。

 欧州連合(EU)は天然ガスの約46%をロシアに依存し、原油も約25%がロシア産だ。ショルツ首相はロシア依存度の低減に向け同盟国とともに取り組んでいるとしながらも「一朝一夕にはできない」と語った。オランダのルッテ首相も7日、記者団に対し「(即時の禁輸措置に踏み切れば)世界、特に欧州の供給網は弱体化する」として否定的な考えを述べた。

 ロイター通信によると、石油輸出国機構(OPEC)のバーキンド事務局長は「世界に、ロシアの輸出量を代替できる能力はない」との見方を示した。

 ロシアのウクライナ侵攻後、ドイツはロシアとドイツをつなぐ新しい天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」の認可手続きを停止するなど強い姿勢を示してきた。一方、国際的な決済ネットワーク、国際銀行間通信協会(SWIFT)の排除対象からロシア国営ガス会社系の金融機関を除外するなど、エネルギー供給に支障が生じない範囲に制裁を限定している。

 EUは次の冬に向けてロシア依存度を下げる計画を策定するが、即時禁輸は供給不足や更なるエネルギー高騰を招きかねず、打撃が大きすぎるとみている。

 事情を見透かすように、ロシアのノバ…

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【ウクライナ侵攻】

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