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「コロナに効く」期待されたあの薬は今 掲載論文撤回も

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イベルメクチンの錠剤=茨城県内で2021年8月21日、中村琢磨撮影
イベルメクチンの錠剤=茨城県内で2021年8月21日、中村琢磨撮影

 新型コロナウイルス感染症には当初、有効な治療薬がなく、別の病気のための既存薬を転用する「ドラッグリポジショニング」が試された。だが期待に反して、その後の研究で効果が示されていない薬も少なくない。既存薬への期待はいまだに根強いが、明確な科学的根拠がない中での服用にはリスクがつきまとう。【岩崎歩、渡辺諒/科学環境部】

「有効性確認」のツイート削除

 「誤解を招く見出しのツイートを削除する。世界保健機関(WHO)は使用について警告している」。ロイター通信は1月末、抗寄生虫薬「イベルメクチン」に関する発信をSNS(ネット交流サービス)上で訂正した。

 発端は、名古屋市の製薬会社「興和」が公表した「イベルメクチンの『オミクロン株』への抗ウイルス効果を確認」と題したプレスリリースだ。あくまで試験管内の細胞実験の結果にすぎず、実際に患者に投与して検証した臨床試験の結果ではなかったが、ロイターが投稿した「臨床試験でオミクロン株への有効性を確認」とのツイートは瞬く間に拡散した。

 興和は2021年から新型コロナへの有効性を検証する臨床試験を継続中で、結論はまだだ。広報担当者は「一日も早く臨床での効果を確認したい」と語る。

 イベルメクチンはノーベル医学生理学賞を受賞した大村智・北里大特別栄誉教授が開発に貢献した。当初、細胞実験で新型コロナウイルスの増殖を抑えたとの報告があり、有望視された。20年4月には、イベルメクチンを投与しない人と比べて死亡率が6分の1に低下したとする論文を米ユタ大などが発表。ところが、この論文は査読前で、複数の研究者からデータの信ぴょう性に疑問が指摘された。論文は結局、掲載…

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