- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

ロシア文学者で名古屋外国語大学の亀山郁夫学長は、ウクライナ侵攻をどう見ているのか。ロシアのプーチン大統領の「夢」を読み解いた前編に続き、後編では、こうした政治家を生み出したロシアの風土について語った。【大野友嘉子/デジタル報道センター】
ウクライナ訪問とゴルバチョフ氏との会談
――「ロシア文学者をやめようと考えた」ことがあったと。きっかけを教えてください。
◆2014年7月にマレーシア航空の旅客機がウクライナ東部で撃墜され、乗客全員が死亡した事件です。この事件で、乗客、クルー合わせて298人もの命が失われました。
撃墜したのは、むろん親露派武装勢力です。その事実を知ったとき、頭から血が引きました。「民間人、それも子どもの命をも犠牲にしてまで、押し通さねばならないことがあるのか」と絶望したのを覚えています。
偶発的だったとはいえ、撃墜の事実に変わりはありません。私は、正直、ロシア文学者であることをやめたいと思いました。そしてその年の夏、半ば罪滅ぼしの気持ちでキエフとチェルノブイリを訪れ、その年の終わりに、ゴルバチョフ元ソ連大統領にインタビューを求めたのです。
――ウクライナ訪問の目的は何だったのでしょうか。
◆ウクライナの「ロシア・フォビア」(ロシア嫌悪)の実態を探りたいと思ったのです。言ってみれば、意識調査です。
当時の私には、幼稚な仮説がありました。ウクライナは、長くチェルノブイリと常に二重写しにされる国家でした。チェルノブイリのトラウマを克服するには、ソ連時代のすべての悪夢を忘れ、ロシアの抱擁から離脱することだ、と。
ところが、キエフに来て、予想とはまったく別のウクライナの姿をこの目にしたような気がしました。もはやキエフ市民の目は、全く過去に、つまり「東」に向いていないことが分かったのです。つまり、ロシアが眼中にないという感じなのです。
その年の暮れ、ゴルバチョフ氏への単独インタビューを試みた私は、彼の口からはっき…
この記事は有料記事です。
残り4447文字(全文5270文字)
時系列で見る
-
ロシアとNATO、緊張高まる恐れ ポーランド国境近くの訓練施設攻撃
108日前 -
北京五輪・パラ、揺らいだ“政治的中立” 「存亡の危機」指摘も
108日前深掘り -
「プーチン氏の独裁ぶり」メディアはどこまで迫れたか
108日前 -
ウクライナ首都近郊で米国人記者が死亡 「ロシア軍が狙撃」と発表
109日前 -
露のリビウ攻撃、死者「少なくとも35人」 NATOとの訓練施設
109日前 -
仏独露首脳は電話協議も折り合えず(3月13日)
109日前 -
ウクライナ「軍戦死者1300人に」 物資供給の拠点・リビウも攻撃
109日前動画あり -
北京パラでウクライナ旋風、史上最多のメダル29個 平和も訴え
109日前 -
リビウにも攻撃か、ミサイル8発着弾 ウクライナ西部の中核都市
109日前動画あり -
「強権の中での自由」 プーチン氏を生んだロシアの土壌
109日前深掘り動画あり -
岸田首相「新たな国際秩序の枠組み必要」 国連安保理改革に意欲
109日前 -
ウクライナへ防弾チョッキなど提供 第1陣の空自機が帰国
109日前 -
青と黄色のコースターでウクライナ支援 新潟の会社が販売、即完売
109日前 -
ウクライナに物資を ポーランド在住の日本人女性が「架け橋」に
109日前 -
IOCがウクライナのスポーツ界支援に20万ドル 医療の提供など
109日前 -
ウクライナ軍「1300人死亡」 仏独露首脳は電話協議も折り合えず
109日前動画あり -
米、ウクライナに追加で2億ドルの軍事支援 対戦車ミサイルなど
109日前 -
勤勉・威厳・多才… 恩師らが見たゼレンスキー大統領の素顔
109日前 -
「ピンとこない。それでは遅い」大阪大空襲経験者、ウクライナで危機感
109日前