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第94回センバツ高校野球

第94回選抜高校野球大会の特集サイトです。阪神甲子園球場での熱戦全31試合をLIVE配信します。

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センバツ、鳴門がぶっつけ本番で大阪桐蔭戦へ 懸念されるリスク

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紅白戦を終え、ミーティングをする鳴門の森脇監督(手前)と選手たち=徳島県鳴門市の鳴門高グラウンドで2022年3月12日午前11時9分、国本ようこ撮影 拡大
紅白戦を終え、ミーティングをする鳴門の森脇監督(手前)と選手たち=徳島県鳴門市の鳴門高グラウンドで2022年3月12日午前11時9分、国本ようこ撮影

 ぶっつけ本番で大阪桐蔭と対戦へ――。第94回選抜高校野球大会(3月18日開幕、阪神甲子園球場)に出場する県立の鳴門(徳島)がセンバツ前に練習試合をせずに甲子園に臨む。新型コロナウイルス感染防止のため、徳島県では公立校の練習試合が禁止されているためだ。練習試合を一切せずに甲子園に臨むのは極めて異例で、鳴門は23日の1回戦で優勝候補の大阪桐蔭と対戦する。

 高校野球では12月1日から3月中旬までオフシーズンで原則、試合を行えないが、練習試合は今年は3月5日から認められている。センバツ出場校は大会前に練習試合を重ね、甲子園初戦に向けて調整するのが一般的だ。一方、鳴門は週末などに紅白戦を行い、実戦感覚を取り戻そうとしている。大阪桐蔭が関西学院(兵庫)に大勝した記事を目にしたという主将の三浦鉄昇(てっしょう、2年)は「自分たちができることをやるしかない」と気丈に振る舞う。

紅白戦を行う鳴門の選手たち=徳島県鳴門市の鳴門高グラウンドで2022年3月12日午前10時54分、国本ようこ撮影 拡大
紅白戦を行う鳴門の選手たち=徳島県鳴門市の鳴門高グラウンドで2022年3月12日午前10時54分、国本ようこ撮影

 ぶっつけ本番で挑むのは難しさが伴う。練習試合を認めている、ある地方の高校野球連盟の理事長は「いきなり大会に臨んで一番怖いのはケガ」と指摘する。練習試合がないと調整具合を確かめられず、緊張感のある公式戦に向けて無理に100%の状態に上げようとすれば故障のリスクが生じる。守備では速い打球に体が慣れていないため、捕球できずにケガにつながりかねない。

 実戦で力を発揮できるかも未知数になる。今大会で春夏計11回目の甲子園出場となる森脇稔監督(60)は「(打者は)練習試合でさまざまな投手と対戦し、応用力を磨いていく。手の内を知る同じ投手としか対戦しない紅白戦ではなかなかできない。投手もそれは同じ」と指摘する。

 感染状況は地域ごとに異なるが、練習試合を条件つきで認めるケースはある。和歌山県は当初は禁止だったが、7日からセンバツ出場校でともに公立の和歌山東と市和歌山のみ県内の学校を対象に練習試合の実施を認めた。兵庫県では3月下旬に春季県大会が控えていることから他県のチームも含めて県内で練習試合ができる。

紅白戦で守る鳴門の選手。自チーム同士の対戦のため、スコアボードにはチーム名が入っていない=徳島県鳴門市の鳴門高グランドで2022年3月12日午前10時45分、国本ようこ撮影 拡大
紅白戦で守る鳴門の選手。自チーム同士の対戦のため、スコアボードにはチーム名が入っていない=徳島県鳴門市の鳴門高グランドで2022年3月12日午前10時45分、国本ようこ撮影

 徳島県はまん延防止等重点措置は発令されていない。県教育委員会体育学校安全課は「校内や部活において(新型コロナの)陽性者が増えている。感染防止の目的で本来は練習自体を禁止しているが、大会が近いため、練習は認めている」と、そもそも活動自体が特例であることを強調する。練習試合になると他校と接触して感染する可能性があるとして、「野球に限らず、県内外で他校と交流することを禁止している。大会があるのでやらせてあげたいが、チームに感染者が出て出場できないという心配もある」と理解を求める。

 ただ、甲子園で試合を行うことは認めており、同課は「練習はしているので、全国大会の出場の機会は確保したい。自チームでできる実戦的な練習でカバーしてほしい」とコメントしている。一方、徳島県の私立校は県内でセンバツ出場校の敦賀気比(福井)と練習試合を行うなどした。

 9年ぶりに出場する今年の鳴門は大会屈指の左腕、冨田遼弥(2年)を擁し、大阪桐蔭の強力打線との対決が注目される。三浦は「相手が大阪桐蔭に決まった後、『勝てるぞ、頑張れ』と地元の人に声をかけてもらった。徳島県民の期待に応えたい」。郷土の代表として全力プレーを誓う。【安田光高】

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