崩壊から再生へ 檀家制度廃止し「反逆者」と呼ばれた僧侶の10年

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橋本英樹住職=埼玉県熊谷市万吉の見性院で3月1日、隈元浩彦撮影
橋本英樹住職=埼玉県熊谷市万吉の見性院で3月1日、隈元浩彦撮影

 宗教界では、その名が広く知られている。「美名」ではない。裏切り者の「悪名」として、である。2012年に「檀家(だんか)制度」を廃止し、仏教界を騒然とさせた埼玉県熊谷市万吉の古刹(こさつ)、曹洞宗見性院(けんしょういん)の住職、橋本英樹さん(56)のことだ。江戸時代から綿々と続く寺院経営の基盤に大なたを振るった。改革から10年。自身の予見の通り「寺院崩壊の時代」と言われるなか、寺はどう変わり、どこへ向かおうとしているのか。【隈元浩彦】

 ――文化庁の2020年の集計では、仏教系の宗教法人は7万6887に上り、寺院の数と同等と考えられています。40年には4割近くが消滅するという推計もあります。今という時代を、寺院が打ち壊された明治初期の廃仏毀釈(きしゃく)を超える日本仏教界の危機と捉えていると聞きました。

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