「コロナ信じるなら離婚」と言われ 「陰謀」に悩む家族たちの2年
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2021年11月、関東地方に住む女性=30代=は微熱があった。体が少しだるい。前日に受けた2回目の新型コロナウイルスワクチンの接種による副反応と思われた。
「寝込むほどでもなかったし、原因も分かっているから不安になったわけでもない。でも、家族には絶対に言えなかった」
夫は「新型コロナは存在しない」「ワクチン接種で死亡率が上がる」という言説を信じている。「いわゆる『陰謀論者』です。マスクも着用しないし」
「ワクチンを打ったせいで具合が悪いなんて言ったら……離婚されるんじゃないかな」
幸い、体の不調はすぐに消え、仕事や家事に支障を来すこともなかった。だが、つらい時につらいと家族に言えないことは心に重くのしかかった。
◇
新型コロナの国内感染が確認されてから2年。「第6波」に至るこれまで、度重なる緊急事態宣言などの対策が断続的に取られてきた。その間、新型コロナやワクチンに関する「デマ」とも言える誤情報が、不安やストレスを抱えた人々の心の隙(すき)につけ込むように流布されてきた。
それは時に人間関係にひびを入れ、家族のつながりに影響を及ぼしている。
手を洗い、マスクもしていたのに
この女性は夫と10年ほど前に結婚し、現在は2人の子どもと4人で暮らす。20年春に初めて国内で感染が拡大し始めた時、夫は今とは違った。まめに手を洗い、品薄になったマスクを探し、外出時は必ず着けた。子どもたちの感染防止にも注意を払った。
夫の言動を不審に感じるようになったのは1年がたった頃からだ。21年3月、夫が「コロナはうそだった。これからは仕事をしなくてもよくなる」と言い出した。「近々、緊急放送があるらしい」とも。女性が「なんで?」「誰の?」と聞いても、答えはよく分からなかった。
8月には、マスクを着け忘れたまま近所に出かけた夫が帰宅後、「誰にも何も言われなかった。やっぱりみんなコロナなんて存在しないと知っているんだ」と言った。
そして「ワクチンは殺人兵器」「コロナは(影の国家である)ディープ・ステートの仕業」といった説がもっともらしく語られる動画を次々に見始めた。子どもと一緒に「折り紙の折り方」を見ていた動画投稿サイトの閲覧履歴に、そんな動画が並ぶようになった。
「コロナを信じるなら離婚」
女性には一つ、心当たりがあ…
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