- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷
地域と一体感、ナインの支え
カキーン! 田園地帯に球音が響く。夏には朝練に励む部員たちの元気な声がこだまする。クラーク記念国際のグラウンド近くに住む安藤一彦さん(84)は「年寄りの町で夢をもらっている」とほほ笑む。
深川市郊外の納内(おさむない)町。基幹産業は農業で、高齢化と過疎化が進む。1960年代に5000人程度だった人口は1500人ほどに減少し、65歳以上が半数以上を占める。

この地に、野球部が誕生したのは2014年。同年閉校した納内中学校跡地が、野球部の専用施設向けに譲渡された。翌年、後援会が発足。親元を離れ、寮生活を送る選手たちを地域ぐるみで支え続けている。
寮の玄関にはプラスチック製のコンテナが置かれ、地域住民が新鮮な野菜を差し入れている。後援会副会長を務める安藤さんが発案した「野菜ポスト」だ。米は地元農家から毎年約120俵(7・2トン)を買い付けている。地元の食材が、ナインの活力の源になっているのだ。
安藤さんは「住民は選手たちの喜ぶ顔が見たくて野菜を持っていく。年寄りにしたら生きがい。クラークと地域は共存共栄だ」と顔をほころばせる。
地域の一員として、地元住民の支えを受ける部員たち。この2年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止されているが、納内神社例大祭で毎年みこしを担いで町内を練り歩くなど、人々との交流を大事にしている。佐々木啓司監督(66)は「地域とのつながりや一体感は強く、生徒を育ててくれる。深川に来て良かった」と感謝する。
甲子園初出場は創部3年目の16年夏。聖光学院(福島)と迎えた初戦、七回まで3―1でリードしていた。「おいおい、今日は帰れないぞ」。アルプススタンドで応援していた安藤さんの周りでは、2回戦を見越し、うれしい悲鳴が上がっていた。しかし、八回に4点を許し、逆転負け。
あれから6年弱。センバツ開幕日の今月18日、2度目の夢舞台に挑む。初戦の相手は昨秋の九州大会で準々決勝、準決勝をコールドで勝ち上がり、優勝した九州国際大付(福岡)だ。
安藤さんは「再び、甲子園でプレーする選手を見るのが何よりの楽しみ。甲子園1勝に向け、地元の応援で盛り上げたい」。後援会でツアーを組み、アルプスに駆け付ける。【三沢邦彦】
◇
甲子園初勝利に向け、選手を支える人たちの思いを3回にわたり届ける。
時系列で見る
-
第94回選抜高校野球 主将力、指導者でも 大阪桐蔭・中村さん コーチ就任「常に選手と学ぶ」
449日前 -
センバツのブラバン応援が3年ぶりに復活 「研究家」の推しは?
449日前動画あり -
只見、野球部員13人と雪かき監督の甲子園 天国の恩師へ届け
449日前 -
初の甲子園応援楽しみ 酒販会社専務・下河由紀子さん(71)=八幡東区 /福岡
449日前 -
硬式野球チーム「福岡門司ボーイズ」 強力打線担う2選手輩出 自由な発想で柔軟な打撃培う /福岡
449日前 -
支える人たち 選手たちの心身ケア スポーツトレーナー 高橋洋介さん /兵庫
449日前 -
OBでマツゲン箕島硬式野球部コーチ兼捕手の水田信一郎さん(33) /兵庫
449日前 -
第94回選抜高校野球 副主将「毎試合全力で」 大垣日大、知事に健闘誓う /岐阜
449日前 -
選手紹介/14 聖光学院・三田寺大吾内野手/聖光学院・古宇田来内野手 /福島
449日前 -
センバツ クラーク記念国際 初勝利に向けて/上 高齢者の町に夢と元気 /北海道
449日前 -
思い切り楽しんで 県財政課主査、三浦剛史さん(39)=大分市 /大分
449日前 -
応援編/上 外部コーチ・土居弘治さん(49) 夢託し心技で後輩支え /大分
449日前 -
選手が甲子園出発 保護者ら200人拍手で見送り /長崎
449日前 -
第3部 選手紹介/2 /佐賀
449日前 -
センバツ 有田工、甲子園に出発 在校生300人と保護者ら激励 /佐賀
449日前 -
第94回選抜高校野球 高知 練習風景 忘れもの、したくない /高知
449日前 -
第94回選抜高校野球 高知 戦力分析/上 「投手力」 継投で生かす持ち味 /高知
449日前 -
部員紹介/3 /岡山
449日前 -
広島商・支える人 マネジャーとトレーナーの7人 責任感と喜び感じて /広島
449日前