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ウクライナ侵攻

ロシア軍がウクライナに侵攻。米欧や日本は対露制裁を決めるなど対立が先鋭化しています。

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プーチン氏批判しないロシア芸術家、欧米で締め出しも 深まる分断

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指揮者のワレリー・ゲルギエフ氏=ⒸAlexanderShapunov
指揮者のワレリー・ゲルギエフ氏=ⒸAlexanderShapunov

 ロシアによるウクライナ侵攻を受け、プーチン政権に近いとみられているロシア出身の芸術家を排斥する動きが欧米で活発になっている。一方、ロシアの芸術家からプーチン政権を明確に批判する声はなかなか出てこない。日本の芸術家からはウクライナ支援の動きが広がっているが、「政治と芸術は別」という声も。こうした対応の違いの背景には各地域で芸術家に求められるものの差異があり、世界の分断が深まっている。【斉藤希史子、関雄輔、須藤唯哉、伊藤遥/学芸部】

世界的指揮者・歌姫も…広がるロシア排除

 プーチン大統領の熱烈な支持者として知られる世界的指揮者のワレリー・ゲルギエフ氏は、伊ミラノ・スカラ座や米ニューヨーク・カーネギーホールなどでの公演を次々にキャンセルされ、締め出しに遭っている。3月1日には独ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者の職を追われた。ウクライナ侵攻への明確な批判を求められたにもかかわらず、沈黙を貫いたのがその理由だ。

 同じく親プーチンとされる世界屈指のソプラノ歌手、アンナ・ネトレプコ氏も、独バイエルン州立歌劇場や米ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場などからボイコットされている。ネトレプコ氏は自身のSNS(ネット交流サービス)で「私はこの戦争に反対だ。私はロシア人で祖国を愛しているし、ウクライナにも多くの友人がいて、彼らの苦境に心を痛めている。この戦争の終結と平和が私の望みであり、祈り。付け加えるなら、芸術家に祖国への糾弾を強制するのは正しいやり方ではない。政治的分断を超えた和合が私の目的だ」と訴えたが、プーチン政権の批判はしなかった。

 露ボリショイ劇場と仏トゥールーズ・キャピトル管弦楽団の音楽監督を兼務していた指揮者のトゥガン・ソヒエフ氏は6日、双方を辞任すると発表した。「愛するロシアの音楽家たちと、愛するフランスの音楽家たちのどちらかを選ぶという不可能な選択を迫られた」ことを理由としている。

 名門ボリショイ・バレエも、スペイン・レアル歌劇場やロンドンのロイヤル・オペラハウスでの公演を次々にキャンセルされている。外国人ダンサーは続々と職を辞して帰国しているという。

 芸術祭や映画祭でロシアの関係者や作品を締め出す動きもある。伊ベネチア・ビエンナーレ国際美術展は4~11月に開催される第59回展にロシア館が参加しないと発表した。同館のキュレーターらが、ウクライナ侵攻について「耐えがたい」として辞任したためだという。仏カンヌ国際映画祭は5月に開幕する同映画祭とマーケットに、ロシアの代表団やロシア政府と関わりのある人物を受け入れないことを決めた。

 欧州を中心とするミュージシャンらが競う「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」の主催者は5月の大会でロシアからの参加を認めない方針を示した。主催する欧州放送連合(EBU)は「ウクライナにおける未曽有の危機を考慮すると、今年の大会にロシアからの参加者を含めることは大会の評判をおとしめかねない」との声明を出した。

 西側諸国でロシアの芸術家にプーチン政…

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【ウクライナ侵攻】

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