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ウクライナ侵攻

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から1年。長期化する戦闘、大きく変化した国際社会の行方は……。

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実は輸入できているロシア産のカニやウニ 食卓から消える日は来るか

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ロシア・サハリン州の市場で売られるカニ=ユジノサハリンスクで2015年8月、真野森作撮影
ロシア・サハリン州の市場で売られるカニ=ユジノサハリンスクで2015年8月、真野森作撮影

 ウクライナに侵攻したロシアへの経済制裁により、ロシア産に依存するカニやウニ、明太子といった日本でおなじみの水産物が食卓から遠のくという懸念が広がっている。実は今のところ、制裁下にもかかわらずロシア産水産物の輸入に影響は出ていないというが、取材を進めるとさまざまなリスクも見えてきた。

ノルウェー産に打撃

 「パリなどを出発する航空便のキャンセルで魚がほぼ入らない。これからどうなるかも白紙状態です」。北欧産などの鮮魚の輸入・加工を手がける「はせべ」(東京)の長谷部修社長(73)は途方に暮れていた。

 水産物でいち早く制裁の影響が出たのは、意外にもロシア産ではなく、ノルウェー産サーモンだ。日本の消費分の大半を空輸に頼っているが、ロシアが制裁への対抗措置として、欧州連合(EU)加盟国などの航空会社に領空飛行を禁止したことで、欧州と日本を結ぶ航空便が3月上旬に急減。調達が難しくなった。

 長谷部社長は納入先のホテルやレストランに不安定な仕入れ状況を説明し、航空便の運航を確認する日々を送る。「お客さまは理解してくれている。仕方ない状況だが、鮮魚は今、全くビジネスにならない」

 食品スーパー向けのノルウェー産サーモンを扱うある大手水産会社も、調達量が3~5割減少した。中東経由の迂回(うかい)ルートは輸送コストが倍増するといい、営業担当者は「店頭価格は3割近く値上がりしてもおかしくない」と話す。航空便が減少する中、貨物スペースはウクライナ向けの支援物資や新型コロナウイルス用の医療品などが優先され、流通が一段と細る可能性もあるという。

ロシア産は輸入継続

 ロシア産の水産物はどうなっているのか。農林水産省によると、2021年の日本の水産物輸入先で、ロシアは中国、チリに次ぐ3位。輸入額は1381億円で、全体の8・6%を占める。

 品目別では、タラバガニの94%がロシアからで、輸入額は108億円。タラの卵もロシア産が56%(輸入額130億円)、ズワイガニも50%(同266億円)、ウニも46%(同97億円)を占める。食卓や飲食店で人気の高いものばかりだ。

 日本は米欧と歩調を合わせ、ロシアの一部銀行を国際決済網から追い出す制裁に踏み切った。ただ、水産関係者は「ロシアの水産物の輸入に今のところ支障は出ていない」と口をそろえる。

 実は、…

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【ウクライナ侵攻】

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