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ビットコイン債、エルサルバドルの賭けの行方は
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暗号資産ブームに乗じる大統領、米ドル離さない国民
<Kejal Vyas and Santiago Pérez/2022年2月17日>
【サンサルバドル(エルサルバドル)】エルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領(40)は11月、ビーチで開かれたビットコイン・コンベンションで、カナダのビデオゲーム開発者でビットコインの熱心な支持者でもあるサムソン・モウ氏(42)をステージに迎えた。会場はロックコンサートのような派手さに満ちていた。
「Feel the Bit(ビットを感じろ)」というフレーズが映し出されたスクリーンの前で、モウ氏は中米の小国エルサルバドルが掲げる斬新な国際金融のアイデアを披露した。ビットコインに裏付けられた世界初の国債を発行し、10億ドル(約1150億円)を調達するという計画だ。観客はスマートフォンでイベントを撮影しながら、大きな歓声を上げた。そのほとんどは暗号資産(仮想通貨)の支持者やブケレ氏のファンで、好奇心旺盛な地元の人々も混じっていた。
白い服に身を包んだブケレ氏は、「ビットコインは世界を変える」と宣言。「それは人類の進化であり、われわれはそこに向かっている」と続けた。
ブケレ氏は大統領就任から3年足らずのうちに、迅速な動きで国を一変させてきた。裁判官たちを解任し、裁判所を自身の支持者で固めた。汚職を報じるジャーナリストには嫌がらせをし、バイデン米政権とはブケレ氏の権力固めを巡って衝突している。革ジャン姿でパイロット用サングラスをかけ、野球帽を後ろ向きにかぶったブケレ氏は、政治的な小競り合いに喜びを感じてきた。自分は「最もクールな独裁者」だと冗談めかして言う。
ブケレ氏といえば、エルサルバドルを現実世界のビットコイン実験場にしたことで知られる。暗号資産が人気の投機対象や未規制の交換手段としての現在の地位をどこまで超えられるかというテストケースを、支持者…
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