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東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

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避難解除後のまちの再生は 縮小される原発交付金、遠のく帰還

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東京都内で開かれた福島県双葉町の町政懇談会で説明する伊沢史朗町長=東京都千代田区で2021年11月13日、関谷俊介撮影
東京都内で開かれた福島県双葉町の町政懇談会で説明する伊沢史朗町長=東京都千代田区で2021年11月13日、関谷俊介撮影

 東京電力福島第1原発事故によって大きく傷つけられたまちは、どうすれば再生できるのか。自治体には事故の後も原発関連の交付金などが支出されているものの、住民の帰還が思うように進まないまちの姿は、事故が残した傷痕の深さを表している。【関谷俊介】

減免終了で「住民が離れていく」

 「発展しましょう、と言われても、住民が帰らないならお化け屋敷みたいな町になってしまう」。2021年11月、福島県双葉町が東京都内で開いた町政懇談会で、都内などに避難する町民ら約20人の参加者から厳しい意見が上がった。伊沢史朗町長は「将来戻りたい人は2020年代に全て帰っていただけるように、除染やインフラ整備をすると国が明言しました」と応じたものの、参加者から歓迎する声はなかった。

 原発事故による全町避難が今も続いている双葉町。今年6月の避難指示解除を目指して準備を進めているが、先行きは見通しにくい。町政懇談会に参加した男性(81)は町に住民票を残しつつ、5年前に都内に住まいを購入して暮らしている。自宅の様子を見に行くたびにイノシシに荒らされているのがわかり、帰還の考えは薄れていった。原発の廃炉作業の影響も気になるといい「もう自宅は解体して墓も移したよ」。町に戻る考えはない。

 原発事故は自治体の財政にも影響を及ぼした。双葉町の場合、事故前の10年度には約30億円の住民税収入があった。それも、11年度以降は年10億円程度まで落ち込んだ。避難を強いられた住民の所得が減額するなどした上、条例で減免措置を講じているためだ。

 総務省によると、原発事故の被害が大きかった12市町村が条例に基づいて11~20年度の10年間に住民税や固定資産税を減免した額は合計でおよそ300億円。双葉町も10年間で25億円を減免した。町域の中に帰還困難区域が広く残る大熊、双葉両町は21年度以降も住民税の減免を続けている。

 こうした減免分は震災復興特別交付税で補塡(ほてん)されるものの、避難指示が解除されて減免措置がなくなることにより、住民が避難先に住民票を移す動きが加速する可能性もある。…

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