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ウクライナ侵攻

ロシア軍がウクライナに侵攻。米欧や日本は対露制裁を決めるなど対立が先鋭化しています。

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なぜ逃げないのか…戦時下キエフに残る日本人の葛藤 ウクライナ侵攻

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キエフの自宅でオンラインの取材に応じる江川裕之さん=2022年3月16日(ウェブ会議システムの画面から)
キエフの自宅でオンラインの取材に応じる江川裕之さん=2022年3月16日(ウェブ会議システムの画面から)

 「私はただビクビクしているだけなんです」。ロシアによる侵攻をうけてウクライナから多くの人が国外へ脱出する中、首都キエフに残る一人の日本人がいる。滞在歴30年以上というキエフ国立大言語学院の上席講師、江川裕之さん(59)だ。なぜ逃げないのか。16日にオンラインで2時間にわたり話を聞くと、逃げたいけれど逃げられない、心の葛藤を語ってくれた。

妻子はウクライナ人

 江川さんは神戸市出身で、ソ連崩壊直前の1991年9月からキエフで暮らす。キエフ教育外国語大(現・キエフ国立言語大)を卒業。通訳の仕事などをしながら、2006年にキエフ国立大で講師に就き、日本語を教えてきた。職場ではウクライナ語と日本語を話す。妻(51)はウクライナ人で、長女(20)と長男(17)もキエフの生まれ育ちだ。「妻子は言語もメンタリティーも完全にウクライナ人です」

 「子どもが小さい頃は、日本語を教えようとし、日本に連れて帰ってもまだ間に合うかなという気持ちもありました。でも小学生くらいになると、日本語が分からない妻子を、仕事もない日本に連れて帰っても仕方ないと思うようになり……」。東日本大震災の原発事故の後は、チェルノブイリ原発を視察する日本人も増え、通訳として現地を案内するなど、キエフにいる方が仕事があった。

それほど危機感…

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