サッカーW杯予選で消えた地上波 代表戦は「公共財」になるのか
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サッカー日本代表のワールドカップ(W杯)出場が懸かる24日のオーストラリア戦はテレビの地上波で生中継されない。以前なら考えられない事態だが、海外では関心が高い試合は「公共財」として無料放送を義務づける例もある。この差は何に起因するのか。
6チーム中2位までが自動的にW杯出場権を得るアジア最終予選B組で日本が首位サウジアラビアに2―0で快勝した翌日の2月2日。W杯出場に王手をかけたにもかかわらず、日本サッカー協会の田嶋幸三会長の表情は厳しかった。
「我々が少し自腹になってでも(中継)できないだろうか。最後まで努力を続けていく」。悩みの種は次戦の3月24日、アウェーのオーストラリア戦だった。
昨年9月に始まった最終予選はテレビ朝日がホーム戦を放映してきたが、アウェー戦は地上波でも衛星放送でもテレビ放映はない。最大の要因は、アジア・サッカー連盟(AFC)が管理する放送権料の高騰だ。
AFCはW杯予選について2005年から4年単位で放送権契約を進め、テレビ朝日が購入して最終予選の日本戦を全試合放映してきた。契約更新ごとに高騰し、当初は4年で約90億円だったものが直近では200億円近くに上がったとされる。
20年の更新期は、AFCと契約した香港の代理店が、W杯予選やアジア・カップなどを含めた放送権料を28年までの8年間で2000億円に設定。資金力のある英国の映像配信サービスDAZN(ダゾーン)が権利を獲得した。
中東などで開かれるアウェー戦は深夜帯で高視聴率が期待できず、日本のテレビ局はホーム戦のみを購入するのがやっと。あるテレビ局関係者は…
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