特集

第94回センバツ高校野球

第94回選抜高校野球大会の特集サイトです。阪神甲子園球場での熱戦全31試合をLIVE配信します。

特集一覧

3歳で旅立った妹の名、グラブに刻み 山梨学院・鈴木 選抜高校野球

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
【山梨学院-木更津総合】軽快な守備を見せた山梨学院の鈴木斗偉選手=阪神甲子園球場で2022年3月21日、猪飼健史撮影 拡大
【山梨学院-木更津総合】軽快な守備を見せた山梨学院の鈴木斗偉選手=阪神甲子園球場で2022年3月21日、猪飼健史撮影

 第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第3日の21日、第1試合で木更津総合(千葉)と対戦した山梨学院の鈴木斗偉(とうい)選手(3年)は、幼い頃に亡くした妹と共に阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)のグラウンドに立った。二塁を守るグラブには、わずか3歳で生涯を閉じた湖々(ここ)さんの名が、涼やかな青い色の刺しゅうで刻まれていた。

 2歳下の妹は先天性の心臓病を抱え、大半の時間を病院で過ごした。妹が生まれたことがうれしくて、ほとんど声が出せない中でも「ママ」と呼んだ声の録音を大切にした。2009年5月に亡くなる直前、横浜の自宅に帰ってきた妹を姉の陽菜さん(20)と一緒に風呂に入れ、体と髪を拭いてあげた。

新調してからも湖々さんの名前を刺しゅうしたグラブを持つ鈴木斗偉選手=甲府市の山梨学院砂田球場で2022年3月10日午後4時26分、田中綾乃撮影 拡大
新調してからも湖々さんの名前を刺しゅうしたグラブを持つ鈴木斗偉選手=甲府市の山梨学院砂田球場で2022年3月10日午後4時26分、田中綾乃撮影

 その年の秋、落ち込んだままの息子を元気づけようとする父健太郎さん(46)に連れられ、横浜スタジアムで初めてプロ野球の試合を観戦した。選手たちのプレーに、スタンドを満員にした観客たちが興奮し、盛り上がる様子に圧倒された。その帰り道、「野球をやりたい」と父に話し、小学校入学と同時に地元の少年野球チームに入った。

 俊足、巧打で頭角を現す。プロ野球選手を夢見るようになった。中学時代の指導者の勧めで山梨学院に進むことになり、親元を離れた。それと同時に、「自分にとって一番頑張れる言葉だから」と、グラブに妹の名前を刺しゅうした。

LINEのアイコンにしているというきょうだい3人の写真。左が鈴木選手、中央が湖々さん、右が陽菜さん=甲府市の山梨学院砂田球場で2022年3月10日午後4時半、田中綾乃撮影 拡大
LINEのアイコンにしているというきょうだい3人の写真。左が鈴木選手、中央が湖々さん、右が陽菜さん=甲府市の山梨学院砂田球場で2022年3月10日午後4時半、田中綾乃撮影

 試合で最初の打席に立つ前、ネクストバッターズサークルで手のひらに指で「湖々」の文字をなぞる。それだけで「気持ちが入る」という。一緒に過ごした時間は短かったが、妹の存在が野球を始めるきっかけとなり、今も支えになっている。「妹の分まで頑張るという思いが背中を押している」と健太郎さんも話す。

 昨秋の関東大会後、センバツ大会に向けて新調したグラブにも「湖々」と刺しゅうした。この日の甲子園の舞台では初打席で安打を放ち、守備でも強い打球を落ち着いて処理するなど、接戦に貢献した。「すごく楽しい舞台だった。次は勝ち上がれるように」。夏にまた、妹と一緒に甲子園に帰ってくるつもりだ。【田中綾乃】

全31試合をライブ中継

 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/)でも展開します。

関連記事

あわせて読みたい

ニュース特集