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上からの視点、下からの視点。広島でよく聞く言葉だ。「上から」は、すなわち原爆を投下した側の視点。「下から」は、被爆した人たちの視点だ。丸木位里・俊夫妻の「原爆の図」が地べたから描かれたものならば、李晶玉(リジョンオク)(30)にとっての広島はどうなのだろう。
ゼロ戦や五輪競技場などをモチーフに、歴史や国家の枠組みを絵画で問うてきた李。原爆の図丸木美術館(埼玉県東松山市)での個展にあたり、タイトルはエノラ・ゲイの格納庫にあった落書きからとった。爆撃機の窓から見た風景を想像して後年描かれたらしい、富士山や太陽。戦勝国の「窓」を通したイメージだ。
展示室に入ると、光を浴びたような白い空間が広がる。正面にあるのは、巨大な「Ground Zero」。東京都心部や富士山が鳥瞰(ちょうかん)図風に描かれる。中心には、核爆発の火球や神話の太陽を思い起こさせる真っ赤な球。その下に皇居の暗い森がある。
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