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ウクライナ侵攻

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から1年。長期化する戦闘、大きく変化した国際社会の行方は……。

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侵攻が変えるエネルギー政策と気候変動対策 日本が進むべき道は

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パリ近郊のベルサイユ宮殿で開かれた欧州連合(EU)首脳会議後、記者会見するフォンデアライエン欧州委員長=2022年3月11日、AP
パリ近郊のベルサイユ宮殿で開かれた欧州連合(EU)首脳会議後、記者会見するフォンデアライエン欧州委員長=2022年3月11日、AP

 ロシアによるウクライナ侵攻は、ロシア産の化石燃料に依存してきた国や地域のエネルギー政策に劇的な転換を迫っている。世界が推し進めてきた脱炭素政策に何をもたらすのか。日本はどう動くべきなのか。【八田浩輔】

EU「ロシアへの依存、段階的に解消」

 「私たちは化石燃料のロシア依存から脱却する。そのためには再生可能エネルギーへの投資と、友好的で信頼できる天然ガス調達先の確保が必要だ」。欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は25日、バイデン米大統領との共同記者会見で、そう述べた。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、EU加盟国は化石燃料の「脱ロシア依存」を進めている。バイデン大統領を招いた25日のEU首脳会議では、米国産液化天然ガス(LNG)の輸入拡大で米国と合意。フォンデアライエン氏はロシア依存の2027年までの脱却を目指す方針も示している。

 EUは域内に輸入する天然ガスの45%、石炭の46%、原油の27%をロシア産に頼る。欧州のNGOによると、ロシアによるウクライナ侵攻後もEUは1日あたり6億ユーロに相当するロシア産化石燃料の輸入を続けている。EU執行機関の欧州委員会は、ロシアからの天然ガス輸入を今年末までに現在の3分の1まで減らす戦略を打ち出している。

 EUは米国やカタールからのLNG調達拡大のほか▽再エネの推進▽建物・産業部門のエネルギー効率化▽ガス暖房から電気のヒートポンプへの切り替え――など従来の脱炭素政策を加速させる。

 だが実現へのハードルは高い。ティメルマンス上級副委員長(気候変動対策)は「…

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【ウクライナ侵攻】

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