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ゼレンスキー氏 演説に「共通経験」にじませ 英米と異なるトーンに

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国会議員が見守る中、オンラインで演説するウクライナのゼレンスキー大統領=衆院第1議員会館で2022年3月23日午後6時4分、竹内幹撮影
国会議員が見守る中、オンラインで演説するウクライナのゼレンスキー大統領=衆院第1議員会館で2022年3月23日午後6時4分、竹内幹撮影

 ウクライナのゼレンスキー大統領は日本の国会でのオンライン演説で、原発事故や住まいを追われた人々の存在といった「両国共通の経験」をにじませた。チャーチルやキング牧師ら著名人の言葉を引用する英米などでの演説とトーンは異なるが、そこにはどんな思いが込められていたのか。

 「ゼレンスキー氏のスピーチは聞き手と感情の連帯を作ることに力点を置いている。聞く側に『私とあなたは他人』と思われたら支援を取り付けるのは難しい。このため『私とあなたは一体』という感覚を相手に与えている」。そう分析するのはスピーチライターの蔭山洋介さん(41)だ。今回の演説では東京電力福島第1原発事故を念頭に、旧ソ連時代のチェルノブイリ原発事故、今回のザポロジエ原発への攻撃といった話をちりばめた。また、ロシア軍の侵攻で多くの避難民が生まれている状況に言及し、「日本の皆さんもこの気持ちがお分かりだと思う」と述べ、福島原発事故で避難した人々を思いやる姿勢も示した。

 さらにロシア軍による化学兵器攻撃が示唆されている状況を挙げ、「具体的にはサリンの使用であり、これはシリア(内戦で使われた状況)と同様だ」と語った。地下鉄サリン事件を経験した日本に対し、同様の脅威にさらされるウクライナの苦境を強調したとみられる。

 ゼレンスキー氏は東日本大震災を想起させる「侵略の津波」という言葉も使い、…

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【ウクライナ侵攻】

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