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ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から1年。長期化する戦闘、大きく変化した国際社会の行方は……。

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ゼレンスキー大統領の演説革命 棒読み、無表情でもインパクト大

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米連邦議会でオンライン演説をするウクライナのゼレンスキー大統領=ワシントンで2022年3月16日、AP
米連邦議会でオンライン演説をするウクライナのゼレンスキー大統領=ワシントンで2022年3月16日、AP

 ウクライナのゼレンスキー大統領の各国での演説が話題になっている。スピーチライターの蔭山洋介さん(41)によると、ゼレンスキー氏の話し方自体は特別優れてはいないという。では、なぜここまで世界の人を引き付けているのか。蔭山さんにゼレンスキー氏の演説で注目する点や、日本での演説から見えるゼレンスキー氏の狙いなどについて聞いた。

引き出す「私とあなたは一体」

 ――まず、ゼレンスキー氏の演説の特徴を教えてください。

 ◆ゼレンスキー氏のスピーチは感情の連帯を作ることに力点を置いている。聴く側に「私とあなたは他人である」と思われたら支援を取り付けるのは難しい。このため、演説する側は「私の痛みはあなたの痛みだ」と訴えることで譲歩を引き出そうとする。ゼレンスキー氏は、各国の偉人の言葉や歴史的な事象を取り上げ、「私とあなたは一体だ」という感覚を引き出すのがうまい。

 カナダ議会での演説では、カナダ各地域の都市や名所を出してカナダで同じようなことが起きた場合を「想像してほしい」と強く語り掛けた。ニュースでは伝わってこない、ウクライナの人々が生で感じていることを感じさせようとしていた。スピーチには二つの種類があり、聴衆を分断するものもあるが、ゼレンスキー氏がやっているのは統合するスピーチだ。

 実は、ゼレンスキー氏の話し方自体の評価は高くない。原稿も棒読みに近く、身ぶりや手ぶりもあまりない。無表情で、前に台本があるのかカメラから目をそらして時々うつろな目になる。…

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【ウクライナ侵攻】

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