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「ふるさとへの恩返し」をうたい、巨額の寄付を集めた小さな港町。取り仕切ったのは「エース」とされる一人の職員だった。ふるさと納税を巡り、計約9380万円の収賄罪などに問われた高知県奈半利(なはり)町の元職員に対する判決が28日、高知地裁で言い渡される。11年間に集まった約117億円のうち、約101億円は返礼品の調達費用に消えた。ゆがんだ制度は何をもたらし、誰が潤ったのか。
太平洋に面した人口約3000人の奈半利町。2020年3月、ふるさと納税に絡む汚職事件が全国で初めて摘発された。
検察側が描く構図はこうだ。町地方創生課の元課長補佐、柏木雄太被告(43)は16~19年、両親と共謀し、豚肉などの返礼品の仕入れ・加工先として叔父夫婦の精肉店を指定する見返りに、店側から計約9200万円を受領。18~19年には元課長の森岡克博被告(47)と共謀し、水産加工会社から「アーモンド小魚」を返礼品として発注するよう請託を受けた見返りに、計約180万円を受け取ったとされる。
検察側は柏木被告に懲役7年、森岡被告に同2年6月を求刑。柏木被告は「肉」を巡る収賄罪を認める一方、両被告ともに「小魚」を巡る受託収賄罪を否認している。
一職員から権力者に
「柏木被告のご機嫌一つだった」。贈賄罪などで起訴された水産加工会社の元社長は自らの公判でそう証言した。ふるさと納税に参入したい事業者にとって、返礼品の選定や発注をほぼ一人で差配していた柏木被告は逆らえない存在だった。…
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