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ジャーナリストの伊藤詩織氏(32)は、自身が受けた性的暴行と、それを告発したことによるネット交流サービス(SNS)上での誹謗(ひぼう)中傷に対する損害賠償を求め、約4年半の間、司法の場で闘ってきた。この間、伊藤氏に言及したツイッター上の投稿を分析すると、勝訴を重ねる中で、誹謗中傷やネガティブな投稿が減少していった状況が見えてきた。中傷投稿にいいねを押されて名誉感情を侵害されたとして、自民党の杉田水脈衆院議員を相手取った訴訟の25日の判決では請求が棄却されたが、調査を担った研究チーム代表の荻上チキ氏は「伊藤さんの一連のアクションが広く知られることによって、ウェブ上の言及で何が『アウト』なのかの線引きが明確になり、中傷の一定の抑止につながったのでは」と指摘する。【塩田彩、宇多川はるか/デジタル報道センター】
12万6000件の関連投稿を収集、抽出分析
調査は今年2~3月、評論家の荻上氏が代表を務める「社会調査支援機構チキラボ」が、伊藤氏側からの依頼を受け実施した。調査はまず、伊藤氏が性暴力被害を告発し訴訟を提起した2017年9月から今年2月にかけて、各訴訟、特集番組の放送など、伊藤氏が公になる計17回のアクションを指定。それぞれのアクションの前後3日間のツイッターで伊藤氏に関連するとみられる投稿約12万6000件を収集した。その上で、計約9000件をランダムに抽出し、調査員による目視で内容別に分類、割合の推移を推計した。
具体的には、擁護・応援▽(メディアが報じた)記事▽誹謗中傷▽ネガティブ▽意見・感想▽引き合い(に出して)肯定▽引き合い批判▽その他――の8種に分類。伊藤氏に否定的な投稿のうち、「ハニートラップ」「枕営業」、容姿の中傷など明らかに悪質で法的にも名誉毀損(きそん)にあたる可能性の高い言葉を含むと判断したものは「誹謗中傷」に、名誉毀損の判断は難しいものの攻撃的だったり否定的だったりする投稿は「ネガティブ」と分けた。また、伊藤氏個人の擁護・応援というより、例えば「安倍政権」「ネトウヨ」などの批判の引き合いに伊藤氏に言及しているケースを、「引き合い肯定」とした。逆に、伊藤氏に言及しつつ「フェミニズム」や性被害を告発する「#MeToo」運動、…
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