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衆院「1票の格差」判決 10増10減の実現は不可欠

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 「1票の格差」が最大2・08倍だった昨秋の衆院選は、憲法に違反するかどうか。1審となる高裁の判決が出そろった。

 全国で16件の裁判が起こされ、9件は「合憲」となったが、7件で「違憲状態」と判断された。

 格差是正に向け、議席配分に人口比を反映しやすくする「アダムズ方式」の導入が決まっている。適用までの途中段階での選挙だったにもかかわらず、厳しい判断が相次いだ。

 司法は衆院の選挙区について、議員1人当たりの人口が最も重要だとの考え方を示している。行政区画が単位となることも踏まえ、事実上、格差を2倍未満に抑えるよう求めている。

 今回、違憲状態とした判決は、格差が2倍以上になる選挙区が、全体の1割に当たる29に上ったことを問題視した。

 高松高裁は「看過できない不平等状態」と批判した。アダムズ方式導入が決まっていることも「考慮すべきではない」と指摘した。

 これに対し合憲判決は、格差について「許容範囲内」と位置づけた。東京高裁は、想定以上の都市部への人口流入が、2倍を超えた原因だとして「正確な予想は困難だった」と容認した。

 ただ、無条件で合憲と判断したわけではない。アダムズ方式による格差の是正が前提である。

 この方式では、議席数が大都市部の1都4県で計10増え、10県で1ずつ減る「10増10減」となる。

 これに自民党内から「地方の声が届きにくくなる」との声が上がっている。有志が見直しを求め、賛同者を集めている。

 しかし、地方が抱える問題は、地元選出だけでなく、議員全員に取り組む責務がある。国会議員は全国民の代表であるからだ。

 議席配分に人口比を反映させる手法の中でも、アダムズ方式は人口の少ない地域に配慮している。

 反対論の背景には、大物議員がいる県で議席数が減るケースがあり、候補者調整が難しくなるという事情がある。自ら決めた制度を内輪の論理で覆すのは身勝手だ。

 選挙制度の公平性は、国会の基盤に関わる。1票の格差を縮めるために、10増10減は不可欠だ。一連の司法判断は、その実現を迫るものである。

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