大テロルの再来? ロシア軍、ウクライナ住民を続々拉致・強制移住か
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ロシア軍が、制圧したウクライナ南部の各地で住民を次々と拉致しているとの情報が相次いでいる。ウクライナは約1万5000人の住民がロシアに強制移住させられているとも主張。制圧地で、思いも寄らぬ住民からの反発を受け、ロシア側が強硬手段に出たとの見方が強まっている。
「1万5000人を強制移住」ウクライナ主張
23日未明、南部ヘルソン州で地元の劇場の芸術監督を務めるオレクサンドル・クニーガ氏の自宅に突然、銃を持った男たちが押し入った。ロシア軍だった。家の中を捜索した上で、クニーガ氏を拉致した。その日の夜、自宅から遠く離れた屋外に放置されるまで、警察署の一室に閉じ込められたという。
63歳のクニーガ氏は、国際演劇祭を開催し、国外でも知られた人物だ。米ニューヨーク・タイムズ紙の取材に応じたクニーガ氏によると、拘束中、男たちから「抗議活動を組織している」と批判されたという。「この国では抗議を組織する者などいない。人々は気にくわないことがあるから抗議している」と説明したが、理解してもらえなかったという。
同じ23日には、ヘルソンと、激戦地のマリウポリの中間に位置するメリトポリで、地元のニュースサイトを運営する記者、スベトラーナ・ザリゼツカヤ氏の自宅に露軍が押し入り、75歳の父ヨシフ氏を拉致した。露軍は、メディア関係者が集う「ジャーナリストの家」にも押し入った。ザリゼツカヤ氏を探したが、見つけられず、代わりに父を拉致したとみられる。地元メディアによると、露軍側はザリゼツカヤ氏に電話し、「出てこないのなら、父親を穴蔵に閉じ込めておく」と脅迫しているという。ウクライナ記者協会はヨシフ氏の即時解放を求める声明を出した。
ヘルソンなど露軍が制圧した都市で、住民による反露デモが相次ぐ。露軍は当初、デモ参加者を遠目に見ているだけだったが、最近では催涙弾発射や威嚇射撃で強制的に解散させるケースが増えている。増え続ける拉致も、反露的な声を抑えるロシア側の方策とみられる。
さらに、一般住民を集団で街の外に強制移住させる手法に乗り出した模様だ。「今後は優しく接しない。街の人口の半数を追放することになろうと、我々はその準備ができている」。英タイムズ紙(電子版)は23日、ロシアの情報・治安機関、連邦保安庁(FSB)が出したとされる内部文書の内容を報じた。21日付で、反露的な住民を夜間に急襲して拘束し、ロシア領内に強制移住させる方針が記されていた。文書を入手したというロシアの人権活動家は「クレムリン(露大統領府)はヘルソンで『大テロル』を展開しようとしている」と語った。
大テロルとは、1930年代に当時のソ連の独裁者スターリンが指導した粛清のことだ。党や軍の幹部だけでなく、知識人らも対象となり、数百万人が処刑や…
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