伊藤詩織さん敗訴 中傷投稿「いいね」が違法と認められない理由とは

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損害賠償を求めた訴訟の判決後、記者会見する伊藤詩織さん。奥は佃克彦弁護士=東京都千代田区で2022年3月25日午後4時23分、宮本明登撮影
損害賠償を求めた訴訟の判決後、記者会見する伊藤詩織さん。奥は佃克彦弁護士=東京都千代田区で2022年3月25日午後4時23分、宮本明登撮影

 ツイッター上で国会議員が繰り返した「いいね」は、不法行為と認められなかった。ジャーナリストの伊藤詩織氏が自民党の杉田水脈衆院議員(比例中国ブロック選出)を相手取った損害賠償請求訴訟で、東京地裁(武藤貴明裁判長)は25日、伊藤氏側の請求を棄却する判決を言い渡した。伊藤氏は東京都内で記者会見し「こうした行為が許されれば被害者を沈黙させることにつながる」と語り、控訴の意向を示した。これまでSNSの中傷について3件の訴訟を提起し、2件勝訴してきたが、今回は判断が分かれた。判決が示した、「いいね」を押す行為が意味するものとは。【塩田彩、宇多川はるか/デジタル報道センター】

 判決後、記者会見した伊藤氏は「当事者としては(杉田氏の)行為が繰り返されることでナイフを突きつけられるような感覚をずっと持ってきました。これが許されてしまったら、セカンドレイプ的な発言や個人の尊厳を傷つける行為が簡単にできてしまいます」と語り、こう訴えた。「性被害についてオープンに助けを求められる社会へと少しずつ変わってきているが、杉田氏のような行為が許されれば、被害者を沈黙させてしまうことにつながるのではないでしょうか」

「『いいね』は原則違法ではない」

 判決によると、杉田氏は18年6~7月、伊藤氏について中傷するなどした第三者のツイート計25件に相次いで「いいね」を押した。杉田氏が「いいね」をしたのは、次のような内容のツイートだ。

 <枕営業の失敗>

 <顔を出して告発する時点でうさん臭い。同情で国をおとしめ、それを飯のタネにしたいという意図が見えて賛同できません>

 <最初から最後まで私利私欲。落ち度じゃなくて自分の意思でしょ>

 <ニコニコ顔で自分のレイプ体験語るヤツが被害者って変だと思わないかなぁ!?>

 また、杉田氏は、伊藤氏を擁護し杉田氏を批判する内容をツイートした第三者アカウントに寄せられた複数の中傷ツイートにも「いいね」を押したとしている。

 伊藤氏側は訴訟の中で、杉田氏が以前からブログなどで伊藤氏への批判を繰り返していた中で、伊藤氏を攻撃する内容のツイートに執拗(しつよう)に「いいね」を押したと指摘。ツイッター上での「いいね」が一般的にどのように運用されているか、実態調査を実施して意見書として提出し、当時約11万人のフォロワーを持つ国会議員という立場の杉田氏による行為は、伊藤氏の名誉感情を著しく傷つけるとして損害賠償を求めていた。一方、杉田氏は「『いいね』はブックマークのために押したに過ぎない」などと反論し、訴えの棄却を求めていた。

 判決は「いいね」を押す行為について、ツイッター社が「ツイートに対する好意的な気持ちを示すために用いる」などと示していることや「いいね」という言葉などから、「一般的に、対象への好意的な感情を示すシンボルとして受け止められている」と指摘。今回の杉田氏の行為は杉田氏の意図や目的にかかわらず、好意的・肯定的な感情を示したものと一般的に受け止められると認定した。

 一方で、…

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