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渡辺保・評 『唐十郎のせりふ 二〇〇〇年代戯曲をひらく』=新井高子・著

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「唐十郎のせりふ 二〇〇〇年代戯曲をひらく」
「唐十郎のせりふ 二〇〇〇年代戯曲をひらく」

 (幻戯書房・3080円)

芝居を見た体験通して舞台再現

 斬新かつ明晰(めいせき)な評論である。

 唐十郎は一九八八年に長い間拠点としていた状況劇場を解散、若い俳優たちと唐組を結成。そこでの戯曲がこの本の対象である。

 しかしその世界は複雑怪奇、一筋縄ではいかない詩的な構造を持っているが、それを著者は実にあざやかに明快にした。

 まず第一に著者は、「唐十郎のせりふ」――言葉の変化を検討する。第二に言葉の変化は、その言葉を使う人間の変化に及ぶから、当然その人間の解析になる。

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