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「頑張らない」わけじゃない ケーキの切れない少年たちが教えること

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宮口教授が医療少年院に勤めていた時、非行少年たちに「ここに丸いケーキがある。3人で食べるとしたらどう切るか。皆が平等になるように」と問題を出すと、上二つのようになった=「ケーキの切れない非行少年たち」より
宮口教授が医療少年院に勤めていた時、非行少年たちに「ここに丸いケーキがある。3人で食べるとしたらどう切るか。皆が平等になるように」と問題を出すと、上二つのようになった=「ケーキの切れない非行少年たち」より

 勉強や仕事、人間関係がうまくいかず、社会の中で何度もつまずく若者は少なくない。一部は非行や犯罪をしてしまい、そこから立ち直れないこともある。挫折の原因は、彼らが怠けているからなのだろうか。それとも……。

 累計発行部数75万部のベストセラー「ケーキの切れない非行少年たち」(2019年、新潮新書)で知られる立命館大の宮口幸治教授(児童精神医学)は「頑張っていないのではなく、どうしても『頑張れない』人たちがいる」と話す。そんな人たちが社会で感じる生きづらさを少しでも解消するため、私たちに何ができるのか。課題を聞いた。

 ――09年から7年間、知的障害や発達障害を持つ非行少年らがいる医療少年院などで法務技官として勤務されていました。そこで接した、ケーキに見立てた丸い円を3等分する問題を解けない「ケーキの切れない非行少年たち」には、どんな特徴がありましたか。

 ◆見る、聞く、想像するといった、全ての行動の基盤となる「認知機能」が弱い傾向にありました。彼らに非行に対する反省や被害者の気持ちを考えさせる従来の矯正教育をしても、右から左へと抜けていっていると感じました。同時に、彼らにとってこの社会がどれだけ生きにくいのかも分かりました。

 認知機能が弱いと、勉強についていけないなど学習面の壁にぶつかります。コミュニケーションなど社会面でも苦労します。例えば、相手にそんな意図はないのに「にらまれた」「悪口を言われた」と被害的に受け取ってしまいます。

 「こうなるためには、これをやったらこうなるから、そこまで頑張ってみよう」と、先を見通した計画を立てられません。犯罪につながる恐れもあります。例えば、急にお金が必要になったと仮定します。「強盗する」と思い浮かんでも、次に「逮捕されるかもしれない」とリスクを想像できれば、他の方法を考えられます。そこに行き着かず、事件を起こしてしまうことがあるのです。

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