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演説中ヤジ排除「違法」 警察の言論制限を戒めた

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 3年前に安倍晋三首相(当時)の街頭演説でヤジを飛ばし、北海道警に現場から排除された聴衆2人が起こした裁判で、札幌地裁が賠償を命じる判決を出した。

 警察による言論制限であると認定し、違法性を明確に指摘した。当然の司法判断だ。

 札幌市で行われた参院選の演説の最中、2人は「安倍辞めろ」「増税反対」などと声を上げた。

 その直後、警察官らに肩や腕をつかまれて移動させられ、1人は少なくとも1時間近くにわたってつきまとわれた。

 判決は、このヤジについて「いささか上品さに欠けるものの、公共的・政治的な事柄に関する表現行為」と認めた。警察官らの行為は、憲法で保障されている「表現の自由」の侵害だと断じた。

 道警側は裁判で、2人が他の聴衆から危害を加えられたり、危険な行為に及んだりする恐れがあったと主張していた。

 だが、当時の様子を撮影した映像に、それらをうかがわせるような動きはなかった。排除に関わった警察官の法廷での証言も、裏付けを欠いていた。

 公職選挙法は、一般の聴衆が聞き取れなくなるような演説妨害を禁じている。今回は、拡声器を使ったわけではなく、個人が短い言葉を発したものであり、当てはまらない。

 要人の演説には大勢の人が集まり、警察による警備は必要だ。しかし、言論制限につながらないよう、慎重に対応しなければならない。そう戒めた判決である。

 道警が2人の行為を制限した理由について、判決は「安倍氏の演説の場にそぐわないと判断した」と認定した。

 安倍氏は5年前、東京・秋葉原で東京都議選の街頭演説をした際に、「安倍辞めろ」などとヤジを飛ばした聴衆の方を指さし、「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と発言している。

 この頃から、安倍氏の支持者らが周りを取り囲み、批判する人たちは遠ざけられる状況が目に付くようになった。

 さまざまな主張や意見が尊重される「表現の自由」は、民主政治の根幹である。異論が封じられ、人々が萎縮して声を上げにくい社会にしてはならない。

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